内容説明
幽霊を見るのには、科学的な理由があった!
脳神経内科医の著者のもとには時に「幽霊を見た」と訴える患者さんが訪れる。認知症やパーキンソン病による幻覚である。近年の研究によりそうした症状は「睡眠」と深く関わっていることが明らかになりつつあり、最新の診断基準に基づき古今東西の怪談や幽霊譚を分析すると、それらはまったく別の顔を見せ始める! 「タクシーから消える髪の長い女の乗客」は高速道路催眠現象? 「神隠し」はてんかんによる記憶障害? なぜ「夏の夜」によく出るのか? それは決して非科学的な存在ではない──。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
142
私はカール・ポパーの科学哲学において「幽霊の存在は反証できないため、科学的命題ではない」「反証できない命題は形而上学であり、科学の外側にある」「しかし形而上学は科学を刺激するため、価値がある」に共感しています。なので、本書は「幽霊体験」という形而上学的テーマを、脳科学という反証可能な理論体系に接続し“科学が扱える領域”へと翻訳する試みだったように感じました。面白い!2026/09/02
へくとぱすかる
65
かつて合宿のときに朝ごはんを炊き忘れた当番がいた。理由を聞いてみると、炊飯器のスイッチは押したという。ところがそれが夢だったのである。もちろんすべての怪異が夢だとか脳で起こる現象だとまでは、この本で主張されていない。そこまで言ってしまうと、かえって非科学的なのである。とはいえ、ここまで解明できるようになったとは、科学の進歩には目を瞠るものがある。なせ幽霊の話は真夏に多いのかにも理由があった。単純に、怖がらせて涼しくなるためではなかったので驚く。椎名誠さんの例は『旅先のオバケ』だったか? 記憶があいまい。2025/08/10
sin
60
「天と地のあいだには、学問などの思いもよらぬことがある」人知の及ばぬものを引き合いに出して怪異を納得させようとする枕詞のようなものだが、この本に拠ると幽霊は現れる。幽霊の正体見たり枯尾花と言われてきたが、その様なレベルではなく実際に視えるのだ。今野圓輔『日本怪談集 幽霊篇』等の実話怪談を「症例」として幽霊を視た体験を分析し、実際に診断された病状に照らし合わせて脳科学で解明しつつある症状に当て嵌めていく⋯その存在は不確定でも、脳の状態で幽霊を認識する幻視は存在する。つまりは「視える人には視える」のである。2025/08/11
竜王五代の人
46
脳科学に即して、よくある怪奇現象が、やはりよくある脳の異常や病気に対応していることを平易に語る本。スタンスとしては、賢しらに怪奇現象を否定するのではなく、怪奇現象を通じてさらに脳の理解をすすめていこう、とするもの。ホモサピエンスは社会的な脳になったから、その故障として怪奇現象を見るようになったというのが興味深い。2025/10/05
こばまり
46
帯に書かれたお名前を見ただけで即買い。おやこれは私の思春期の愛読書、中村希明先生の『怪談の科学』のアップデート版じゃなかろうか。と思ったら本文中にも引用されている。科学的に説明が付いたとてそこには別の、脳のワンダーが広がるのでロマンは決して減らない。2025/09/14




