内容説明
ようこそ、血と肉片にまみれたサクチシ村へ。
川上縫は、毎晩のようにある少女の夢を見る。
現実では会ったことのない、その少女の名前は「芽璃」といった――
高校生にして天涯孤独の身となった縫は、生前の父の友人が営む児童養護施設に入るため茨城県のサクチシ村にやって来る。
縫は同い年の女子高生・水谷緒途を始めとした、五人の子供たちとの同居生活を始め、次第に新しい生活に慣れていく。
そんなある日、縫は村人たちが古くから信仰している神、「サクチシサマ」を祀る神社へ行く。そこで彼は、何度も夢で見た少女「芽璃」と出会う。
夢が浸食してきたかのような現実に当惑する縫に、芽璃はかつてサクチシ村で起きた事件について語る。
実はサクチシ村では、これまでに三件の怪死事件が起きていた。
第一の事件は四つの溺死体が蝋化し、連結されて発見されたというもので、第二、第三の事件は、それよりも凄惨でおぞましいものだった。
そしてこの残酷な事件は、今年も起きるのだと芽璃は予言した。
芽璃と出会った日から、縫の日常は狂気に呑み込まれていく――
連続怪死事件、宗教、夢、縫自身の失われた記憶が複雑な繋がりを見せ始めた頃、村の神、サクチシサマを祀る土着的な儀式が始まった。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
28
高校生にして天涯孤独の身となった川上縫。生前の父の友人が営む児童養護施設に入るため茨城県の佐口澌村にやって来て直面する惨劇の物語。両親や育ての親を失い、同い年の女子高生・水谷緒途を始めとした、五人の子供たちとの施設での同居生活を始め、次第に新しい生活に慣れていった縫が、「サクチシサマ」を祀る神社で出会った何度も夢で見た少女・芽璃。彼女が語る3件の怪死事件、そして彼女の予言通りに縫の身の回りで再び起きる残酷な事件があって、宗教、夢、縫自身の失われた記憶が複雑な繋がった先に待っていたその結末は衝撃的でした…。2025/08/21
わたー
26
★★★★★面白いとは思うが、私の好みではない。というか、元々、かなり狭い範囲を狙っての作品なんだと思う。養育してくれていた叔父夫婦が亡くなったことで、サクチシ村にあるグループホームで生活することになった主人公。幼馴染と旧交を温めながら穏やかに暮らしていたが、かつてサクチシ村で起こった複数の猟奇的な事件と、小学生の頃の自由帳にそれを予言するかのようなイラストが描かれていたのを見つけたことを契機に、次第に日常が崩れていって……という因習村系サイコホラーラノベ。ガガガ文庫でしか出せなかったであろう作品だな。2025/09/14
CPT
14
あまりに邪悪で醜悪な作品。”読みたい”という直感が見事に的中。あとがきを読んで納得。全体に散りばめられた”あの感じ”は確かに好きだよ……と自己嫌悪。貪るように読んでしまった中西鼎さんの3冊目2025/08/22
真白優樹
12
保護者の立て続けの死から、父の友人を頼り茨城の田舎の村に引っ越した少年が、惨劇に巻き込まれていく物語。―――異端と禁忌、醜悪の先に待つのは破滅。 凄惨な三つの未解決事件、そして少年の周りで起きていく新たな事件。その事件が少年の過去と繋がり始めて惨劇、そして世界の破滅への扉が開いていく物語であり、正に邪悪で醜悪、何処にも救いがない地獄が展開する、衝撃的な物語である。堕ち往く事を選んで堕ちた先、その先に始まる地獄絵図。誰も幸せにならぬ、それでも最後は幸せで終われたのか。 うん、怖くて面白かった。2025/08/22
うさみP
9
綺麗な臓物の月星が輝く。それは彼女の瞳だった。いや~、ガガガは毎回良い仕事をしてくれる。メロブのラノベ棚に平積みされていたのが気になって手に取ったのが正解だった。少女は私の唯一を否定する醜い世界は滅べと神に願った。少年は一目ぼれをした無垢な彼女の唯一の願いを叶えてくれと神に願った。了解!!電波受信!!実行します。サクチシサマによる純愛ロード。天涯孤独な少年と異神が土着する田舎で出会った白ワンピース美少女(永遠の憧憬)その先の崩壊へ向かう疾走感。伝奇(猟奇)エロゲ復活しないかなぁ・・・。2025/09/23