内容説明
父の不在、学校でのいじめ、そして家族の沈黙――。地方都市で思春期を迎えた少年は、心の拠り所を失いながらも、妹との関係や再会したかつての少女との日々を通して、かすかな光を見出していく。現実の厳しさと記憶の優しさが交錯する中、何気ない風景や小さな営みに救いが宿る。喪失と再生の間にたゆたうように描かれる、静かで熱い青春の記録。切実な孤独を見つめる眼差しが、読む者の胸に深く残る長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ataru Furuya
2
ひたむきな青春小説である。不遇な家庭に育った内向的な少年が、文学や演劇を通した様々な出会いの中で成長し、恋人との愛を育てていく。読み進むにつれ、昭和晩期のリアルな日常を真摯に生きる姿に共感が深まる。作中に文学や映画へのコメントが多く出てくるが、中でも漱石論が秀逸で面白い。実は、この作品自体が漱石へのオマージュなのだ。ワクワクの展開もある。心象風景を描く筆致は時に見事で、十分読み応えがある。最後に突如襲う理不尽な運命を彼はどう受け止めるのか。ボウイの名曲から着想した作品のタイトルはその伏線になっている。2025/07/31
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