文春e-book<br> GB84 下

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文春e-book
GB84 下

  • ISBN:9784163920054

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内容説明

ストライキを潰すための汚れ仕事に従事する男たち。
その忌まわしい罪が彼らを狂わせてゆく。

押さえ込め。罠にかけろ。
帝国を揺るがす叛乱の息の根を止めろ。
おそるべき暴動の文学、ここに誕生す。

タイムズ、ガーディアン、オブザーヴァー、
サンデー・タイムズほか
英国高級紙がそろって絶賛!

ストライキは30週間に迫り、国家による弾圧は激化の一途をたどる。首相マーガレット・サッチャーはストを続ける者たちを「内なる敵」と呼び、「自由にとって危険だ」と言い切った。組合の資産を差し押さえる訴訟が起こされ、警官は大軍を成して鉄拳を振るう。

サッチャーの意を受けてスト潰しに暗躍するスティーヴン・スウィートはカネを集め、策謀を練り、資本主義を守るためにカネをばらまく。その腹心ニール・フォンテインは汚れ仕事の手配をしながら過去の罪のもたらす悪夢に苦しむ。

デイヴィッド・ジョンソンは復讐のために動き出し、盗聴のエキスパート〈ティンカーベル〉ことマルコム・モリスは忌まわしい事件の真相を収めた録音をひた隠す。そして組合とともに徐々に追いつめられるテリー・ウィンターズは愛人ダイアンの手引きでリビア政府からの資金援助の申し出に応じ、最高指導者カダフィ大佐との会見に臨むが――

歴史は告げる、1984年のイギリス炭鉱ストライキは1985年の3月に労働者側の敗北で終結すると。己の罪と恐怖に囚われた男たちの眠れぬ夜は、いかなるかたちで終わるのか? 現代イギリス文学の傑作にして唯一無二のライオット・ノワール。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

90
「幻訳書」No10の下。組合側はヨークシャー地域執行委員長のテリ―を、資本側は「ユダヤ人」と称されるスティーヴン・スウィートを主人公として相互にあらゆる権謀術数を駆使してゼネスト実施の攻防を繰り広げる。組合主導者たちのソ連を意識した社会主義への偏向傾向も政府側の危機感を煽る要素となり、まさにかつて資本主義の勃興と発展を主導し王者として君臨してきた英国の浮沈を象徴する「大事件」であった。⇒2026/05/25

NAO

34
この作品はサッチャー政権のあまりにも苛烈な弾圧を描いているが、組合幹事は闘争資金用の裏金作りに奔走しつつも愛人との関係に溺れ組合の金を着服しようと目論むし、組合側に勝利したものの〈修理工〉の一味も仲間割れと殺し合いが起き、勝利に酔う〈ユダヤ人〉にもあまりにも以外な展開が。とはいえ、一番割を食ったのが一番大変な思いをしている労働者たち。これでは、あまりにも救いがない。この作品は、各部のタイトルがポップスのタイトルからとられている。⇒2026/06/01

ヘラジカ

33
あまりにも乾ききった文体が、只管に淡々と事実のみを綴っていく。様々な立場を視点だけが移ろうため、善悪は完全に超越しており、類を見ないほど”フラット”な小説だ。徹底して感情を排しているが故に、ともすると物語に置いて行かれそうにもなるが、時たま恐ろしいまでの臨場感を味わうことも出来た。文体からジェイムズ・エルロイと比較されているであろうことは想像に難くないが、個人的な感想を言うとあの作家とは似て非なるものである。エルロイを期待して読むとかなり肩透かしを食らうかも。多くの読者を篩にかける作品なのは間違いない。2025/08/13

sayan

14
飢えと疲労、裏切りと沈黙の末に二十万人を超える失業と炭鉱地帯の崩壊、共同体の空洞化だけが残る。日記で土地から剥がされ、野に囲い込まれ、尊厳を剥奪される様を労働者は語るも、指導部は理念と理論を語り続ける。現場は食卓を守るために疲弊し諦念へ。目的意識の極端な乖離、裏切りによる共同体の断裂、下巻の中核だ。著者は、労働運動の神話を脱神話化する。日本の炭鉱地帯が過疎化で静かに消滅、英国のコミュニティは内戦的崩壊の轟音で終わった。生活の喪失と働く意味の死。凍えた手のひらが微かに熱を分け合う、最後の連帯の記憶だけ残る。2025/09/17

4
ストライキは30週にまで及びもはや内戦状態に。<彼女>と表現されていた女性が時の首相マーガレット・サッチャーだったという事実が恐ろしい。血の川、頭蓋骨の山…淡々と使われるセンセーショナルな表現が事態の深刻さと凄惨さを物語り続ける。そして衝撃のラストシーン…読み終えた後の疲労感が半端なかった。自国の人間を「内なる敵」と呼ぶ国家のなんと恐ろしいことよ。訳者あとがきに記されている「炭鉱ストライキという事象それ自体が主人公」という稀有な作品なのでそれゆえに読む人を選ぶ点は否めない。2025/09/22

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