内容説明
青年は、あの男と三毒を追って冥土から蘇った!
地獄をも巻き込んだトウ雨龍の空前絶後の生涯はいよいよ結末へ――。
「三毒の克星(天敵)は、死心(あきらめ)じゃとおれは思う」
養父母を失ったうえ、姉すらも守ることができず、悔悟と激しい怒りに苛まれる青年・トウ雨龍。とうとう、その元凶である村の青年幹部・田冲に復讐し、自らも殺人の咎で銃殺刑に処される......。ところが、ようやくたどり着いた冥土で、ひょんなことから功績が認められ、ある条件と引き換えに、再びこの世に舞い戻ることを許される。その条件とは、人間界に逃げ出した三毒の討伐だった――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
164
先日の上巻に続いて、漸く下巻が読めました。上下巻、600頁強、完読です。本書は、著者の新境地でしょうか、三毒地獄変歴史ダークファンタジー、著者は楽しんで書いていると思いますが、読者ウケは、あまりしないかも知れません。日比谷図書館では、上下巻とも新刊コーナーに放置されていました(笑) https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-732.html2025/08/20
たま
87
三毒とは六道輪廻図の中心に置かれる貪瞋痴(貪欲・怒り・愚かさ)。雨龍は父母を死に至らせ、姉を弄んだ村の共産党員に復讐して銃殺され、地獄に落とされ、三毒退治にこの世に戻される。仏教モラリスト冒険小説とも言うべき展開で、雨龍が和尚・姉・羅兄弟・皮蛋の落とし種の助けを借り、地獄から脱走した鬼たちと闘う場面はカンフー映画のようで楽しい。ただ、日中戦争・その後の内乱・毛沢東時代を生きた中国の人々は耐え難いほどの貪瞋痴を経験したことと思うが、この令和の日本でこのテーマを自分のことと受け止めるのは難しいとも感じる。2025/11/03
ずっきん
69
抗日から大躍進後までの激動の中国に振り回される農村の人々のドラマであり、ひらたく言えば、なんとゾンビ物である(笑)むろんエンタメとして一級品の面白さであるが、なんといっても、その言葉の躍らせっぷりがそりゃもう見事で、こちらの胸も躍りっぱなしであった。かと思えば都度都度溜め息が駄々漏れる展開に場面。余韻が長く長く続く締め。ああ、幸せな時間だった。人間とは死してなお三毒にまみれる生き物なのか。はたして断ち切れるのか、折り合いをつけるのか。その苦しみの奥深くにフフンと笑う碧眼和尚のしたり顔が見えるぞ。最高。2025/09/11
たいぱぱ
59
まさに東山彰良の世界であった上巻から、急に下巻で漫画になってしまってびっくり仰天!しかし物語の芯の部分では、振れずにしっかりと東山彰良だった。自分の思いを隠すことなく自分勝手に「人間」を晒しだした登場人物たちに、お前ら阿呆か!野蛮人!馬鹿!愚か者!と罵りたくなるものの、一周回って愛おしくもなる不思議。馬鹿正直で嘘を言ってない故か。思わぬ姿の再登場する皮蛋とその娘でもある妹子がたまらなく物語を盛り上げてくれる。賛否両論ある作品でしょうが僕は賛で!「邪行のビビウ」と一部繋がる世界がファンとしては嬉しかったな。2025/11/13
Sam
54
三毒とは仏教における根本的な三つの煩悩である貪・瞋・癡(とん・じん・ち)を指す(今回初めて知った)。これを題材に採ったのが本作で、著者しか描けないような独創的な作品に仕上がっている。二度生き返る(?)主人公はもちろん個性溢れる登場人物たちも本書の魅力。登場人物たちがどうしようもなく惹かれ合う場面の描写も相変わらず素晴らしい。激動の毛沢東時代が舞台の割にはドラマチックなストーリーではないような気もするけど、所詮人間は三毒を克服することなどできない、共に生きるしかないのだというテーマは描き切ったと思う。2025/08/17




