東映の仁義なき戦い――吹けよ風、呼べよ嵐

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東映の仁義なき戦い――吹けよ風、呼べよ嵐

  • 著者名:野地秩嘉
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • プレジデント社(書籍)(2025/06発売)
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  • ISBN:9784833425681

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内容説明

【内容紹介】
昭和100年を高倉健、小林稔侍、降旗康男、東映会長、社長ほかの
証言で振り返る東映の3つの「し」。
しのぐ、しぶとい、神風(しんぷう)。
苦しい時代の「しのぐ」。
「しぶとく」仕事を見つけてくる。
「神風(しんぷう)」が吹くのを待つ。
3つの言葉が東映の歴史だ


映画館に来る観客数がもっとも多かったのは、1958年で11億2745万人だった。同年、全国には7000館を超える映画館があった。

2024年の年間の観客動員数は1億4444万1000人(前年比92・9%)、興行収入は2069億8300万円(前年比93・5%)。2020年以来、4年ぶりの減少で、今後も最盛期を超えるどころか近づくことすらもできないだろう。

観客は激減し、映画会社は東映に限らず、苦労の連続だった。映画製作だけで食べていくことはできなくなった。東宝は早々に製作を分離し不動産ビジネスを強化した。松竹もまた製作を減らした。ただ、松竹は歌舞伎という大きな興行の柱を持っていた。

東映は時代劇、任侠映画、実録映画、エロ映画、和製カラテ映画、アニメと独自のシリーズ企画で観客へアピールした。映画製作から配給、上映とすべてを行った。さらに社員や関係者を食べさせるためにさまざまな事業に手を出していった。

アニメ制作、テレビ映画制作、テレビ局への投資、CM制作は本業の映画製作と親和性がある。また、アニメやヒーローものの映画に出てきたキャラクターをビジネスにした。それだけではない。時代劇の製作本数が減ってきたら、京都撮影所の遊休地を太秦映画村にして、テーマパーク事業に進出した。不動産開発販売、ボウリング場、プロ野球、ホテル、ショッピングセンター、タクシー会社、花か卉き店、消費者金融、葬祭業、ガソリンスタンド、旅行代理店、パチンコ店、麻雀店、コンビニといった事業にまで進出した。

東映はかつて『仁義なき戦い』(1973年~ 全5作)で大ヒットを記録した。だが、ほんとうの仁義なき戦いは会社を存続させることだった。東映は頑張ってきた。これからも頑張るだろう。日本のすべての企業はマーケットの縮小と環境変化に対して戦ってきた東映に学ぶしかない。なんといってもこれからは仁義もへったくれもない存続の戦いに突入しなければならないのだから。

【著者紹介】
[著]野地 秩嘉(のじ・つねよし)
1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュをはじめ、食や美術、海外文化などの分野で活躍中。著書は『トヨタの危機管理 どんな時代でも「黒字化」できる底力』『高倉健インタヴューズ』『高倉健ラストインタヴューズ』『高倉健演技の流儀』『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『一流たちの修業時代』『ヨーロッパ美食旅行』『京味物語』『ビートルズを呼んだ男』『トヨタ物語』『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』『伊藤忠商人の心得』など著書多数。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。最新刊は『豊田章男が一番大事にするトヨタの人づくり』。

【目次抜粋】
プロローグ/娯楽といえば映画だった
第1章 月光に導かれて
第2章 戦後の映画ブームと東映の発足
第3章 東映に吹いた風と大川博
第4章 映画を襲った嵐の秘訣
第5章 高倉健と任侠映画オールナイト
第6章 営業マンと観客たち
第7章 仁義なき戦い
第8章 東映とアニメ創世記
第9章 『仮面ライダー』とスーパー戦隊シリーズ
第10章 実録映画の衰退と和製カラテ映画
第11章 ふたりのプロデューサーと東映ポルノ
第12章 宣伝方法の変化
第13章 東映太秦映画村と不動産の後始末
第14章 映画の輸出とアニメ
第15章 『鉄道員(ぽっぽや)』高倉健と小林稔侍
第16章 Vシネマという発明
第17章 フィルムからデジタルへ
第18章 相棒
第19章 世界と東映アニメ
第20章 時代劇復権『将軍』と『侍タイムスリッパー』
エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Kolon

3
戦後から1970年代位迄が所謂昭和的な映画産業の香りがあった時代だろう。 映画制作に従事していた人たちは個性的で今では考えられないくらい破天荒な現場だったと思う。 東映の歴史に焦点当てた本書を読むだけでも、当時の脂ぎった人たちの生き様が解る。 東大出の映画監督が多数いたのはこの時代くらいだろう。 今と違って人間技のぶつかり合いを記録していたのが映画だったと言える。2025/11/28

キュー

1
いちおうビジネス本という事だけど東映ヒストリーとして面白く読めた。歴代社長のやり方がどれも大胆で面白くてそして成功していってるのが印象的。宇宙戦艦ヤマトの西崎プロデューサーをオーディーンがコケたら見限った話とか。あと仮面ライダーの渡邉Pの退職後のエピソードはちょっと寂しいというかなんか複雑な気持ちになったな。東映ヒストリーとして読んでいって、そうすると小林稔侍さんのエピソードが挟まってくるのがなんかノイズに感じてしまったかな。それはそれで面白くはあったんだけど。2025/08/31

tkm66

1
決して悪くはないが・・〈詰め込み過ぎ〉で〈構成・校正両方とも雑〉・・ビジネス書ってそんなレベルなのかな?2025/08/28

安土留之

1
大部屋俳優から抜け出した小林稔侍を狂言回しにして東映の歴史を描いている。興味深いエピソードが紹介されているが、エピソードが多すぎて、東映の歴史を知るという点では、流れがつかみにくい。2025/08/13

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