文春e-book<br> サイレントシンガー

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文春e-book
サイレントシンガー

  • 著者名:小川洋子【著】
  • 価格 ¥1,900(本体¥1,728)
  • 文藝春秋(2025/06発売)
  • 2026年も読書三昧!Kinoppy電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~1/12)
  • ポイント 510pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163919911

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内容説明

著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説400枚。

内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。たったひとりの家族であるおばあさんが働いているあいだ、幼いリリカは野辺の老介護人に預けられて育った。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。

やがてリリカは歌うことを覚える。野辺の重要な行事である“羊の毛刈り”で初めて披露された彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?

名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

263
能率と法規とSNSという言葉の網目に覆い尽くされた日本で、一切の言葉を拒絶する集団「アカシアの野辺」が存在し得るのか。成立事情や経済的基盤が明記されず、役所やマスコミも最低限しか干渉せず時間設定も曖昧になるとはリアルではなくファンタジー世界だ。そこで祖母の後を継いで働くリリカは、いわばあの世とこの世をつなぐ役割を担っている。半ば人ならざる身となりながら、言葉を捨てた人びとの声を引き受けたリリカは沈黙の歌声を現世に届け続ける。言葉の洪水が当たり前の社会は正しいのか、言葉を生業とする作家の問いかけが聞こえる。2025/09/14

starbro

260
7月の第一作は、小川 洋子の6年ぶりの長篇小説、小川 洋子は、新作コンスタントに読んでいる作家です。本書は、声タレの生涯、小川 洋子ワールド全開でした。 手タレやスタントマン等、裏方の人生にも色々とドラマはあるんでしょうね。 私は、リリカという名前は可愛いと思いますし、声の美しい女性は好きです。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639199112025/07/01

旅するランナー

197
沈黙を愛し数少ない指言葉だけで意志疎通するコミュニティで生活する女性リリカ。不完全なお菓子が恵んでくれる幸運、湧き水の池に並ぶおばあさん手作りの人形たちが示してくれる親しみ、老い衰え死んでいく羊たちの穏やかさ、何もかもひっそり通り過ぎていく。村上春樹の壁の中の街を彷彿とさせる世界観の中で、無言でいるもののためだけに歌われる、沈黙を乱さない歌は、声少なき弱者への鎮魂歌なのか。2025/09/27

あんこ

157
待ち望んでいた小川さんの長編。ページを捲って、その言葉に触れる毎に、読み終わるのが惜しくていつもより時間をかけて読んだ。 小川さんの紡ぐ物語は、常に過去の、忘れ去られた誰かのための物語だと思う。ああ、この物語は小川さんの手によって掬われたのだな、と安堵する。出てくる人物たちは、その多くが自らは語らない。今回の長編は特にその寡黙さが顕著だった。このままで彼らは大丈夫なのだろうか、と不安になるものの、小川さんの眼差しによって、彼らの言葉にならない言葉の静謐な美しさに触れることができた。2025/06/22

hirokun

145
★3 小川洋子さんの作品を読むのは二作目の様だが、前回の作品についてはすっかり記憶から飛んでおり、この作品についても読メに参加していなければたぶん読んでいなかった。少しファンタジー感の漂う作風は彼女の持ち味なのか?現代社会に警鐘を鳴らすような表現も散見され、『魂を慰めるのは沈黙である』という言葉には強く共感できるものがあった。結果的には、最後まで読み終えて何か心の落ち着きを感じさせてくれる読書だった。2025/07/07

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