内容説明
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
143
★★★★★★★☆☆☆スターキャッチコンテストの開催に向けて動き出す下巻。様々なものが失われ、自粛を余儀なくされたコロナ禍。その空白を埋めるように、亜紗・真宙・円華らはコンテストにのめり込む。星を〝捕まえる〟楽しさを知った彼らは、対象をあるものに替え活動を全国に拡げていく。感染者はまるで罪人のように扱われ、「自粛」こそ正義だったコロナ初期。その生々しい記憶を俯瞰して眺められる今だからこそ、心に響く物語になるのだろう。十数年後、コロナの記憶を持たない若者がこの作品に触れた時にどう感じるのか、知りたい気もする。2025/08/05
セシルの夕陽
62
コロナ禍で諦めたこと、出来なかった行事や大会、思い出になるはずの修学旅行。コロナで奪われたたくさんのこと。でも、だからこそ、出来たことも出会えた人もあった。中高生たちの力や思いが詰まった天体観測【スターキャッチコンテスト】 そこで終わりじゃなかったみんなの気持ち⭐️ 青春小説は好きだ♡ 心奥にしまい込んでいた懐かしい気持ちが、熱く迫り上がってくる🔥 土星・木星はガス星で降り立つ『陸』がない、北極星は地球の自転により替わる。知識が増えた🌟 解説は宇宙飛行士:山崎直子氏🌟2025/07/06
seba
43
いよいよ「スターキャッチコンテスト」の当日。生徒たちだけでなく、周りの大人もわくわくしているさまが眩しい。そしてコンテストから数ヶ月。同じ空を共有した生徒たちの輪は、自身の心境や身近な人間関係に対しても、思わぬ形の変化をもたらしていた。改めて、コロナ禍により日常が変容させられ、その中だからこそできたことがあった一方で、本来できるはずだった当たり前というものはやはりあって、それを思うと少なからぬ悔しさは湧いてくる。それでもどんな状況であっても、「楽しもう」という前向きな意志は何よりの武器になるのだと思えた。2025/07/15
よっち
34
コロナ禍ならではの出会いから、リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。そこから大きな動きへと広がっていく下巻。真宙が理科部の目標探しの中でスターキャッチコンテストを見つけて茨城と繋がり、茨城が五島とも縁を繋いだことをきっかけに、生徒同士でなく、先生もリモート会議を駆使して、全国の天文部の生徒たちと繋がっていく展開で、コロナ禍では実際にあっただろうな…と感じさせる様々な出来事にも直面しながら、それでもコンテストに向けて取り組む中で育まれる彼らのかけがえのない絆がなかなか素敵な物語でした。2025/06/18
kanaもん
29
青春ですね。コロナ禍で制限だらけの日々であっても、決して失われた時間など無い。行動すれば、何かの経験や出会いがあり、支える人がいる。思わぬ成長や、気づけなかった思いを知ることができたり、人との関わりを改めて大切に思えた。2025/07/06