山影の町から

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山影の町から

  • 著者名:笠間直穂子【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 河出書房新社(2025/06発売)
  • いよいよ秋の気配!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~9/13)
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  • ISBN:9784309039336

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内容説明

アスファルトの世界を離れ、わたしは秩父へ移り住むことにした――庭と植物、自然と文学が絡み合う土地で、真摯に生きるための「ことば」を探す。練達の仏文学者による清冽なエッセイ集。

 *   *   *

秩父の自然を綴るなかに、深い霧のような知の涼気が渡る。清しく果敢な精神のかたち。
――小池昌代

風や水のゆらめきを気配で感じとる耳には、歴史の奥に消された声さえ聞こえる。
――くぼたのぞみ

   *   *   *

・窓から風に乗って流れ込んだ常山木の、爽やかで甘い濃厚な匂いに導かれて(「常山木」)。
・生命の表と裏を引き受ける誠実さの方へ(「巣箱の内外」)。
・経済活動からはこぼれ落ちる、豊かな交換の倫理(「ふきのとう」)。
・外来種という呼称がはらむ排外主義の芽と、植物がみせる「明日の風景」(「葛を探す」)。
・宮沢賢治が見上げた秩父の空(「野ばら、川岸、青空」)。
・鮮やかで深い青紫の花と、家の記憶について(「サルビア・ガラニチカ」)。
・切り捨てられた人間と動物がともにある世界へ(「車輪の下」)。
・都市優位の世界観を解きほぐす作家たち(「田園へ」)。
・見知らぬ女性からの言葉が届く場所で、わたしは届くはずのない文章を待っている(「消される声」)。
・空の無限、星の振動、微かに吹く風は、わたしたちに語りかける(「風の音」)。

……ほか珠玉のエッセイ、三十篇

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

96
秩父に住み、都心に通う生活を選択したフランス文学研究者で大学教授のエッセイ。何度も繰り返される「なぜ東京から秩父に引っ越したのか」という質問に、この本の文章を読めばわかると思う。エッセイの多くは本のこと、植物のこと、自然のことである。好きなものに囲まれて暮らすことの心地よさを感じさせるだけでなく、都会で常識とされていることへの違和感を指摘する。更に秩父という見知らぬ土地への興味から周辺に足を運び、意外な文学者の足跡とつながりを紹介している。本書で紹介される本の一覧が巻末にあり、興味深い。2025/02/20

どんぐり

73
第75回日本エッセイストクラブ賞受賞作。東京の都心から土と緑と空間の広がる土地を求めて移住したフランス文学者。勤務先の大学と路線図を前に通勤の現実を量りつつ、秩父に家を求めた著者は、草のなかの一軒家のイメージに導かれるように移住する。朝の露に濡れたサドル、玉虫色に光るバラの葉、伐っても芽吹く木々の生命のあり方。中心街は歩いて15分ほどの小さな円環で、移住者が心地よく迎え入れられる場所がいくつか点在する。山と自然に囲まれた山影の町での生活を、植物の時間とともに静かに見つめる。→2026/08/11

ケイティ

28
都心から秩父に移住したフランス文学者によるエッセイ。読書中は別の時空にいるような静謐さに包まれ、自然や植物を愛でる情緒は強く持ち合わせていないが、これはぐっと来た。移住先の土地と相性も良かったようで、何を得て何を失ったという足し引きで査定せず、目の前にある事象をただ見つめる悠然としたまなざしが滋味深い。ただ自然のある暮らしはいいという話でなく、自分に正直に言葉を綴ろうと研ぎ澄まされ掘り起こした感性と思考は、時に苦しく考えさせられるものも。日々の生活や風景と文学との絡み合いも興味深かった。2026/09/06

わんつーろっく

27
著者は東京から秩父に移住したフランス文学者。自然と文学が絡み合い、草木の匂いを感じながら、彼女が見ている心の世界を知るエッセイ。名前は知っていても読んだことのない作家の言葉の力。たまには古典に触れるのもいい。2026/05/24

かもめ通信

24
国学院大学の教授でフランス文学者、マリー・ンディアイの小説などを翻訳でも知られる著者のエッセイ集。端正な文章と深い知識と洞察力が、読む者に心地よさだけでなく、様々な問題や自身のありかたを問いかけてくる。そんなつもりは全く無かったのに、またまた読みたい本をどっさり増やしてしまったことも嬉しい誤算だった。2025/02/17

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