講談社文庫<br> 二重らせん(上) フジテレビとテレビ朝日 欲望のメディア

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講談社文庫
二重らせん(上) フジテレビとテレビ朝日 欲望のメディア

  • 著者名:中川一徳【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 講談社(2025/06発売)
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  • ISBN:9784065395783

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内容説明

フジテレビとテレビ朝日は1959年、日本テレビ、TBSに続く民放テレビ第三局、第四局として産声をあげた。
テレビ局が「カネのなる木」だということが明らかになるにつれ、多くの政商、旧軍人、メディア企業、政治家たちが群がった。なかでもフジ、テレ朝の2社に深く食い込んだのが、出版社「旺文社」を経営する赤尾好夫である。
自らが支配するラジオ局文化放送を通じて両社の株を握り、テレビ朝日では東映社長の大川博を追い出し、経営権を握った。
その息子・赤尾一夫もテレビ朝日の大株主として独特の存在感を発揮、さらにマネーゲームへと狂奔していく。
テレビの系列化に乗り遅れた朝日新聞はその間隙をつき、テレビ朝日を支配しようともくろむ。
一方のフジテレビのオーナーとなった鹿内家だが、突然のクーデターによって鹿内宏明が放逐され、
日枝久による支配体制が確立される。
しかし、その後も、フジの親会社・ニッポン放送株の10%を握る鹿内宏明の存在が、日枝に重くのしかかった。
それを振り払うためのニッポン放送、フジテレビの上場が、思わぬ「簒奪者」を呼び込むことになる――。
絡み合うようにうごめく二つの「欲望のメディア」。
膨大な内部資料を入手し、その相貌を赤裸々にする。

目次

プロローグ 知りすぎた男
封印されたファイル
鹿内家と赤尾家
第一章
金のなる木
マルチェリーノ神父の資金力
出版人・赤尾好夫の原点
「時流」に乗る野心家
第三、第四の商業テレビ局
寄り合い所帯の「日本教育テレビ」
満州から来た男たち
佐藤栄作の人脈と影
陸軍と朝日新聞の共同事業
大川博社長のテレビ局私物化
朝日新聞オーナー・村山家
下剋上で就任した社長
テレビ免許の仕切り人・田中角栄
朝日新聞の改革者・広岡知男
「村山家封じ込め」工作
「造反」した創業家の次女
トリックスター・三浦甲子二
政商と地方テレビ局
仕手戦「敗北」の末路
後継者・赤尾一夫
東京と大阪の「腸捻転」を解消せよ
「テレビ朝日」に社名変更
「電波談合」
安倍晋太郎のタニマチ
「直紀をよろしく」
「平成新局」と政治家
六本木の新社屋
社史から消された男
第二章
喧噪の時代へ
赤尾好夫の死
岡山の政商・林原
世代交代
リクルートという「潜在敵」
NTT初代社長人事をめぐる暗闘
「濡れ手に粟」の株割り当て
赤尾兄弟の絶頂
第三章
マネーゲーム
社主・赤尾一夫の「城」
オランダの節税会社
フジ上場計画とニッポン放送
顧問弁護士の諫言
「8」という数字へのこだわり
赤尾一夫の錬金スキーム
「カネの匂い」に群がる者たち
「黒船」マードック登場
上場する必要はなかった!
ソニー・出井の仲介話
「ディズニーがフジを買収」情報
次の標的
週刊文春の脱税報道
赤尾一夫の妻の怪死
右翼に攻撃された日枝邸
「放出」された実力者
ソニーとの「破談」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

nishiyan

9
1955年に開局したフジテレビとテレビ朝日。この二つの局を舞台に経営権と金の生る木となった放送事業を巡る権謀術数の果てを描いたノンフィクション。旺文社の赤尾好夫という稀代の出版人と息子の赤尾一夫が文化放送をもかき乱す様は何と凄まじいことか。放送事業に乗り遅れた朝日新聞の巻き返しと、その裏で繰り広げられた創業家である村山家の排除の顛末も…。前書で描かれたからか、フジテレビの鹿内家排除のクーデターはあまり言及されていないが、マードック&孫正義連合のテレ朝株取得の方法がフジテレビに与えた影響も興味深い。下巻へ。2025/06/26

コブタ

4
フジテレビとテレビ朝日、ニッポン放送と文化放送、そして朝日新聞と旺文社という日本を代表する企業の出生とそれにまつわる闇人脈を描いたノンフィクション。旧日本軍人と政治家、官僚との切っても切れないズブズブの関係は現在にまで至ると思われる。旺文社=赤尾一族の目に余る企業の私物化に至っては、赤尾の豆単で勉強した世代としてはがっかりを通り越して怒りを覚える。最近のフジテレビ騒動は今までのつけが廻ってきたとしか思えない。2025/10/01

SATAN'S TOY

4
「メディアの支配者」の続編的な位置にある本だが前作がフジサンケイグループの物語だったのに対し本作、特に上巻はテレビ朝日、文化放送、旺文社などのメディア界の交錯に費やされていて、下巻において前作のその後の話がメインになっている。前作に負けず劣らずの力作であり大変読み応えがあるが、株式の複雑な話を理解しながら読むのに時間がかかってしまった。あと前作は骨肉の争いを描いていてもどこか人間臭さがあったのだが今作の特に下巻でのメインの殺伐としたマネーゲームは読んでいて心が荒んでくる気分ではある。続きを期待したいが…。2025/07/15

shonborism

3
昔読んだ『メディアの支配者』が面白かったので本作も手に取ってみた。当時はそういうものだったのか、メディア草創期の中心人物が大体陸軍関係者なのに驚き、旺文社と赤尾一族がついちょっと前までがっつり絡んでいたことに驚いた。金と権力の源泉にたかっていく人の多さに、これがノンフィクションであることを忘れてしまいそう。2025/06/22

辻井凌|つじー

2
フジテレビとテレビ朝日。どちらも日本を代表するテレビ局だけど、そもそもどうやって生まれて、どんな人たちが関わってきたのか。実はそこには、思わず「うわー……」と声が出そうな話がごろごろ転がっている。表紙からしてすでにやばそうな雰囲気で、『アウトレイジ』感が漂っている。「全員悪人」という言葉がぴったりハマる内容だ。 ※上下巻合わせた感想 https://note.com/nega9clecle/n/n488d5291e1282025/07/08

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