内容説明
オーストリアの青年士官ルーカスは皇帝の密命を受け、フランス王妃マリー・アントワネットの元に向かう。フェルセンとの恋に身を焼くアントワネットを説得し、ミラボー、ダントン、ロベスピエールらを利用して、革命阻止をはかるルーカスに迫る影。王妃が皇帝にあてた密書とは。激動の2都に展開する大河ロマン。(講談社文庫)
マリー・アントワネットを洗脳せよ。
革命の陰にうごめくオーストリアの罠。狂乱のパリに向かう青年士官の野望。
オーストリアの青年士官ルーカスは皇帝の密命を受け、フランス王妃マリー・アントワネットの元に向かう。フェルセンとの恋に身を焼くアントワネットを説得し、ミラボー、ダントン、ロベスピエールらを利用して、革命阻止をはかるルーカスに迫る影。王妃が皇帝にあてた密書とは。激動の2都に展開する大河ロマン。
目次
第一部 シェーンブルンの鳴動
第一章 ウィーン来着
第二章 フランスの風雲
第三章 暴動発生
第二部 ヴェルサイユの攻守
第一章 武装蜂起
第二章 狂気の饗宴
第三章 ムニュ・プレジール館の三闘士
第四章 指に巻くか巻かれるか
第五章 革命を生き抜く国王
第六章 トリアノンの逗留者
第七章 真実の愛
第八章 美貌の親衛騎兵
第九章 追想のベルヴェデーレ
第十章 分裂する議会
第十一章 バスティーユ再び
第十二章 フランドル連隊、到着
第十三章 革命のアマゾネス
第十四章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
誰かのプリン
18
アントワネットの実兄ヨーゼフ二世の命令により革命期最中のフランス にある密命を担って、アントワネットの元に使えるルーカス。 彼の懸命な努力も水泡に消える時が。今回も面白かったです。2017/10/19
柏葉
10
マリー・アントワネットの人格形成に多大に影響を与えた、貴族の青年が主人公。少女時代の彼女と二年間を共に過ごし、非常に要領のいい我儘娘に仕立て上げたという負い目を抱えている。物語の時期は、バスティーユ要塞襲撃から、三頭派がジャコバン・クラブから抜けるまで。佐藤賢一「小説 フランス革命」シリーズと比べると、どうしても軽く感じる。ラファイエットやロベスピエールが好意的に描かれているのに対し、ミラボーやデムーランの扱いがよくない。革命の有名人が、ちょこちょこ登場し、ルーカスからの視点で描かれる。 2011/12/10
あゆたけ
6
かの有名な王妃様をあの手この手でまともな人物に矯正しようとする幼なじみ密偵貴族の奮闘記。作中のアントワネットは彼女の人間像の中でも、かなりイメージが悪いほう。保身に走る割に政治を理解せず好き放題、義務は果たさずひたすらに権利を享受する…こりゃ怨まれる。最後主人公が人権と使命の間で苦悩するとこが好きです。2011/10/23
bibliophage
5
中学時代に藤本ひとみさんの作品を読んだことがあり、たまたま書店で目についたので手にとった1冊だが、なかなかに楽しめた。密使であるルーカスの策には感心させられる。最後のあたりの自分か国王か、事実かアントワネットかという心の揺れ動きがよかった。終始、ルーカスの心理描写がはっきりとされているので非常に読みやすかった。2015/12/20
春日
5
この作者は美男を描くのも上手いけど、それ以上に嫌な女を描くのが上手い。 読者はアントワネットに終始イライラしながら、すっきりすることも救われることもない結末。 ハプスブルクの宝剣もそうでしたが、もう少し女性が魅力的に描かれていれば作品の面白さは違っていたと思います。 ハプスブルクの宝剣はそれを補っても面白いと思えましたが、こちらは読後感、良くない。2012/03/09