「フランコプロヴァンス語」は存在するか - フランス・イタリア・スイスの国境を越える言語の再活

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「フランコプロヴァンス語」は存在するか - フランス・イタリア・スイスの国境を越える言語の再活

  • 著者名:佐野彩
  • 価格 ¥7,920(本体¥7,200)
  • 三元社(2025/05発売)
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  • ISBN:9784883035656

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内容説明

フランコプロヴァンス語は、学術的文脈において19世紀後半に存在が指摘され、論争を経てひとつの「言語」として認知されるようになった。特定の民族・集団や歴史的一体性のある地域とは一対一で結びつかず、話者にはひとつの「言語」として認識されてこなかった言語に対する捉え方の変化が、20世紀後半以降、言語運動が展開するなかで、それに携わる人々の言語意識をどのように変容させているのか、さらにそれが言語の再活性化にいかなる影響を及ぼすのか。歴史・社会的背景の異なる地域や異なる成り立ちの運動を取り上げることで、そこで見られる言語の様々なあり方を提示する。

目次

はじめに 1

第1部言語再活性化における言語意識をめぐる問題とフランコプロヴァンス語 ・7

第1章危機言語の再活性化と言語意識 8
1.「言語再活性化」と「言語意識」 8
 1.1.「言語再活性化」 8
 1.2.「言語意識」 10
2.言語維持・再活性化の要因と言語意識 12
3.言語の「名づけ」 14
4.「文化遺産」としての言語 15

第2章フランコプロヴァンス語の社会言語学的状況 17・
1.フランコプロヴァンス語とは 17
 1.1.フランコプロヴァンス語の言語境界 19
 1.2.言語的特徴と言語の成立過程 21
 1.3.言語の名称 25
1.3.1.「パトワ」 25
1.3.2.地方名に基づく名称 26
1.3.3.「フランコプロヴァンス語」/「アルピタン語」 27
2.フランコプロヴァンス語の現状 28
 2.1.ユネスコの基準 29
 2.2.フィッシュマンの尺度 31
 2.3.エスノリングイスティック・バイタリティ 32
 2.4.話者数をめぐる問題 34
3.国別に見たフランコプロヴァンス語の言語使用状況 36
 3.1.フランス 36
 3.2.イタリア 37
 3.3.スイス 38
4.フランスのフランコプロヴァンス語圏における言語使用状況の変遷と現状 41
 4.1.ダイグロシアと言語シフト 41
 4.2.言語シフトが進んだ地域におけるフランコプロヴァンス語の言語使用 44
4.2.1.ドメイン 45
4.2.2.言語レパートリーと言語使用 46
4.2.3.トピックとポストヴァナキュラー的言語使用 48
5.書きことばとしてのフランコプロヴァンス語 49
 5.1.フランコプロヴァンス語で書かれたもの 49
 5.2.書記法をめぐる問題 54
6.フランコプロヴァンス語の社会言語学的研究 56
 6.1.背景 56
 6.2.ローヌ・アルプ地域圏を対象とする研究 57
 6.3.一部の地方を対象とする研究 59
 6.4.「新話者」と「アルピタン運動」に関する研究 62
 6.5.フランコプロヴァンス語を指す名称についての研究 63

第3章研究課題と調査法 65
1.研究課題 65
2.研究の方法とデータ 67
 2.1.概要 67
 2.2.「言語学者」及び「公的機関」 68
 2.3.「民間言語文化団体・運動家」 69
 2.4.インタビュー調査 72
 2.5.危機言語の話者タイプとインタビュー協力者 74

第2部「フランコプロヴァンス語」の認知と普及 ・77

第4章「言語学者」――「フランコプロヴァンス語」の創出 78・
1.「フランコプロヴァンス語」の存在の是非をめぐる学術的論争 78
 1.1.アスコリによる「フランコプロヴァンス語」の存在の指摘以前 78
 1.2.アスコリによる「フランコプロヴァンス語」の存在の指摘と命名 80
 1.3.アスコリに対する批判―「方言」の否定 82
 1.4.「フランコプロヴァンス語」の認知 85
 1.5.その後も続く存在の否定―言語学的“概念”としての「フランコプロヴァンス語」 87
2.言語の名称をめぐる問題 89
3.言語学者の役割 92

第5章「公的機関」――「フランコプロヴァンス語」の公的認知 97・
1.フランス 97
 1.1.国レベルでの認知 97
 1.2.地域圏レベルでの認知 99
1.2.1.ローヌ・アルプ地域圏の地域語政策 99
1.2.2.ローヌ・アルプ地域圏の地域語をめぐる言説 100
1.2.3.言語の名称をめぐって 106
2.イタリア 108
 2.1.国レベルでの認知 108
 2.2.ピエモンテ州及びプーリア州での認知 109
 2.3.ヴァッレ・ダオスタ州におけるフランコプロヴァンス語とフランス語 110
ほか

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