内容説明
信じることの危うさと切実さに痺れる11篇
「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」
好きな言葉は「原価いくら?」
現実こそが正しいのだと強く信じる、超・現実主義者の私が、
同級生から、カルト商法を始めようと誘われて――。
世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の11の短篇+エッセイ。
表題作は2021年シャーリィ・ジャクスン賞(中編小説部門)候補作に選ばれました。
文庫化にあたり、短篇小説「無害ないきもの」「残雪」、エッセイ「いかり」を追加。
書き下ろしエッセイである「書かなかった日記――文庫版によせて」を巻末に収録。
〈収録作〉
「信仰」「生存」「土脉潤起」「彼らの惑星へ帰っていくこと」「カルチャーショック」「気持ちよさという罪」「書かなかった小説」「最後の展覧会」「無害ないきもの」「残雪」「いかり」
単行本 2022年6月 文藝春秋刊
文庫版 2025年5月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
FUKUSUKE
56
複数の文芸雑誌に掲載された十一編の短編や掌編、エッセイを集めた一冊。表題にもなっている「信仰」は宗教的な儀式が描かれていて、どこか地球星人に似ている気がする。その次の「生存」と「土脉潤起」は世界観が近い。「無害な生き物」は地球にとって人間は害悪だと洗脳された人々が滅亡に向かって突き進んでいく様子が描かれているのだが、「信仰」や「生存」にある宗教的な人々の衝動を感じさせる話になっている。見方を変えると、世間一般に普通じゃない人たちを描いているようにも読める。「残雪」と「書かなかった日記」の関係も興味深いね。2025/07/05
はっせー
53
本書は小説とエッセイがミックスした短編が11編収録されたもの。表題の主人公は永岡という女性。同窓会に久々に参加したところ、石毛という人からしつこくLINEを聞かれ会うことに。どうせ宗教やマルチの勧誘かと思って会ってみると、石毛はこんなことを言う。「なぁ、俺と、新しいカルト始めない?」なかなかインパクトある勧誘😂感想は、私たちが信じているものってシンデレラの魔法みたいなもの。高級品や美容・食べ物など、一見価値があるように思えるものでも、見方や環境が変われば無価値に感じられる。シンデレラにかけた魔法と同じ2025/10/12
小太郎
43
自分としては基本的に村田沙耶香さんはSF作家だと思っています。11篇の短編とエッセイのこの本読んでいても発想は正しくSFだと思えます。日常生活の中の不安や違和感をこんな形で物語に出来るのは素晴らしい。優れた小説を読むと他人と自分の視点の違いが認識出来ます。それと同時に自分の考え方の立ち位置が客観視出来ると思っています。村田さんの小説を読むといつもそんなことを思ってしまいます。この本玉石混交ではあるけれどそんな感じがしました。★42025/06/07
魚京童!
32
信じることと逃げることは何が違うのだろうか。いつかは戦うときにカンフル剤が必要だ。私は特別だから。追い詰められたから。何と戦っているのだろうか。戦わなくてはならないのだろうか。社会と対峙する。自然と対峙する。温室で育ってはいけないのだろうか。コンクリートジャングルは幸せだと思ったがAIが発達するとただの植物だ。そこに意思があるのだろうか。植物と意思疎通がしてみたい。どんなことを思っているのだろうか。意思があるから考えてしまう。思想があるから、ここまで発展してきた。その先に見える未来は輝いているのだろうか。2025/12/25
ゆきらぱ
29
村田沙耶香ってなんてすごいんだろう この文庫本は魂が宿っていてピカっと発光し始めるような気がするからカバーして本棚に並べます2025/09/14




