内容説明
第167回直木賞候補作、待望の文庫化!
「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。
その背後にあったのは、国の実権をめぐる女たちの政争。
そしてわかり合えない母娘の悲しい過去だった。
「大仏は眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ」
建久六年(1195年)。京の六条殿に仕える女房・周子は、宮中掌握の一手として、源頼朝と北条政子の娘・大姫を入内させるという命を受けて鎌倉へ入る。気鬱の病を抱え、繊細な心を持つ大姫と、大きな野望を抱き、それゆえ娘への強い圧力となる政子。二人のことを探る周子が辿り着いた、母子の間に横たわる悲しき過去とは――。「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。その背後には、政治の実権をめぐる女たちの戦いと、わかり合えない母と娘の物語があった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんけんだ
18
頼朝の娘、大姫を入内させる為に都から鎌倉に遣わされた周子が、中央の政治と鎌倉の政治の間で奮闘する。誰にも心を開かない大姫が周子に理由を語るシーンは圧巻です!北条政子の人物像もなるほどです。2025/05/12
エドワード
17
源頼朝と北条政子は、一の姫、・大姫の後鳥羽天皇への入内を企てる。故後白河法皇の寵姫・丹後局が動き、彼女の腹心・衛門こと周子が命を受け鎌倉へ下る。時代背景は周知のこと。気鬱の大姫に后が務まるのか?都と鎌倉の違いを日々習得する周子。入内は真に政子の望み。周子が美しく儚い大姫に「入内をお望みではないのですか」と問うと、大姫は「望みなど問うな」と答える。大姫の意思は意味をなさない。大姫が泣くと誰かが罰される。何と生き辛い鎌倉よ。「海の底 奥を深めて 我が思へる 君には逢はむ 年は経ぬとも」大姫の悲しい生涯。2025/08/10
たけはる
8
あらすじに惹かれて購入。読みやすく端正な文体で、さらさらと物語が進んでいきました。ここに描かれる北条政子は、過干渉かつ強権的で毒親チックな女性。対する大姫は、周囲を慮るあまり自分を出せない気弱な娘。歴史に題材をとりながらも、現代でもじゅうぶんありうる母娘の確執が生々しく描かれ、グサグサ突き刺さりました。大姫、せめて浄土で義高と再会できていますように……。主人公周子が、ただ幸氏への恋心ではなく「生き残るために」鎌倉へ戻ってきたというしたたかさも好きでした。2025/06/27
源シタゴウ
7
作者の確かな筆力を感じさせ、最後まで飽きさせない。ただ大姫入内計画という失敗に終わった事件に焦点を当てるのは意欲的であるが、物語の起伏という点では難しかったように思う。 「毒親」について焦点が当てられているようでもあり、頼朝と北条の力関係にも筆が割かれているし、海野氏との恋愛模様にも注目されている。それはそれで面白かったのだが、結局、中盤まで肝心の大姫と衛門の交流はなされず、心を開きつつあるところから、いきなりの結末。唐突感は否めない。「御台所は過たない。他人の責にしてしまうからだ。」が印象に残った2025/07/01
akanE
4
長時間移動があったので後半一気に読めた。史実に基づく部分もあるので結末の想像はつくのだけどそれでも気持ちが動く読書ができたので読んでよかった一冊。2025/07/24
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