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内容説明
1945年3月末から約3か月間にわたり、米軍と激しい地上戦が繰り広げられた沖縄戦。軍民あわせ約20万人もの命が失われた。戦後、日本は平和憲法を制定したが、沖縄は米軍の軍事支配に委ねられ、日本に返還後、今なお多くの米軍基地が存在している。また、近隣国を仮想敵とし、全国で自衛隊基地の強靭化や南西諸島へのミサイル配備といった、戦争準備が進行中である。狭い国土の日本が戦場になるとどうなるのか? 80年前の悲劇から学び、その教訓を未来に生かすために、国土防衛戦の実相を第一人者が膨大な史料と最新の知見を駆使し編み上げた、沖縄戦史の決定版!
目次
序 なぜ今、沖縄戦か
第一章 沖縄戦への道
第二章 戦争・戦場に動員されていく人々
第三章 沖縄戦の展開と地域・島々の特徴
第四章 戦場のなかの人々
第五章 沖縄戦の帰結とその後も続く軍事支配
おわりに
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
85
藤原彰の下で著者が沖縄戦を研究し始めてから40年、その集大成といってよいのが本書と思う。新書というコンパクトな書の中で、特に住民がどのように死に、あるいは生き残ったのかを中心に、多くの事例を紹介する。戦闘が行われなかった八重山でのマラリアによる病死、ハンセン病患者の扱い、慰安婦など本当に見落としがちなところにまで著者の意識は及んでいる。また、「日本軍=加害者、沖縄=犠牲者」という単純な図式化には警鐘を鳴らし、それぞれの二面性、多重性に注意をうながす。アメリカ軍の動き、さらには自衛隊の現状まで配慮している。2025/06/28
アキ
55
当時の日本の人口約7000万人。沖縄県の人口約60万人中、疎開以外の約50万人が沖縄戦に巻き込まれて約12万人が犠牲になった。しかしこの数字も正確ではない。本書では詳細な資料を元に沖縄の人々の体験や聞き取りを含めての記述があり、日本軍が多くの沖縄県民を殺害した事実を繰り返し記している。日本軍将校の愛人を地元の村に差し出させ、食糧を掠奪し、残虐行為に及び、果ては自決を迫る。軍事作戦と国体護持を最優先し、天皇自身も米軍への一撃にこだわり、その後は本土決戦に備え、沖縄を見殺しにした。沖縄旅行で再読しようと思う。2025/08/17
kan
36
沖縄戦史の決定版と帯にある通りで、可能な限り多くの側面を網羅しておりとても勉強になった。すべての事柄に対し複数の視点から検証し、県市町村史からも余すことなく史料を引き、伊江島や波照間島など離島のこと、基地や今後の日本のことにも言及するなど、細部まで本当に配慮が行き届いていると感じた。過去も未来もすべて繋がることを実感。最後にあった、「沖縄の自然も文化も、沖縄戦さえも本土人の『癒し』と自己満足のために消費されているだけの現状」への問題意識は重く受け止めた。修学旅行の事前学習課題本の一冊として生徒に示したい。2025/07/11
どら猫さとっち
19
今年は戦後80年を迎えるが、沖縄戦が勃発したのも今から80年だった。沖縄戦は想像を絶する悲惨な出来事だったと認識していたが、本書を読み改めてその悲劇の大きさを感じた。兵士たちのみならず、現地にいた人々、学徒隊、集団自決…。何故日本史では語られることが少ないのか。西田昌司議員のひめゆりの塔をめぐる不適切な発言は、こうした背景にあるのではないだろうか。沖縄戦のすべてを記した本書を、今読んで知っておくべきだ。2025/05/24
二人娘の父
15
西田議員の歪な「東京裁判史観」批判史観を基底にした、ひめゆり平和祈念資料館への中傷発言があったのは、2025年5月3日。この発言は、沖縄戦の全体像を、自らの歴史観のために歪曲してきた自称「愛国主義者」らの主張を見事に象徴している。沖縄戦の教訓をその全体像から正確につかみ、記録に残し生かすことは、いまや日本の外交・安保を左右する分岐点とも言える焦眉の問題である。そうした時に本書が刊行されたことの意義は大きい。西田議員は本書を最低でも3回は読み、それでもなお自説を主張するなら「やってみろ」と言いたい。2025/06/17
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