内容説明
「最初に『何かすごい』と思い、それがずーーーーーっと止まらず、一冊全部がそうだった。」
――斎藤真理子(翻訳家)
デビュー作『優しい地獄』で読書界に衝撃を与えた、ルーマニア出身の文化人類学者イリナ・グリゴレ、最新作。
娘たちと過ごす青森の日々。ふとよみがえる故郷ルーマニアの記憶。そして、語られてこなかった女たちの物語――。
「彼女の人生をスクリーンのようなものでイメージとして見せられたら、彼女の語らなかったことが見えて、あの夜ニュースを見た人たちも彼女を理解できたかもしれない」(本書より)
虚実を超えて、新たな地平を切り開く渾身のエッセイ。
今までに書かれたどんな日本語よりも、鮮烈なことばをあなたに。
目次
■コロナくんと星の埃
■鬼は来ない日も来る
■蛍が光る場所
■逃げたパン
■天王星でルビーの雨が降っている
■団地ラボラトリー
■ダンゴムシに似ている
■ナメクジの世界
■野良犬
■ドリームタイム
■綿飴、いちご飴とお化け屋敷
■きのこ雲
■狼が死んでいた
■死んでも生きる
■葡萄の味
■結婚式と葬式の間
■ゴダールが死んだ年に
■みえないもの
■何も意味しないとき、静かに朝を待つ
■何も意味しないとき、燃えている森の中を裸足で歩いて、静かに朝を待つ
■卵を食べる女
■蜘蛛を頭に乗せる日
■初恋と結婚した女
■Ghosted
■果実の身代わり
■あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
58
静かな時間が根底に流れている。日々の営みの中で、眼にするもの、感じるもの、香ってくるものなど、そんな断片が集まっているように思う。それは、一人の人が存在するのに近いのかもしれない。だからこそ、その断片を広く集め、考えること、思索を深くすることが大切だと思う。2025/10/19
紅咲文庫
26
フィールドワークを続け、獅子舞の舞を習い、娘たちとの会話やさまざまなものからみえないものを感じ取っていく著者。岩木山や雪に幅を取られて狭くなった道、私自身も目に浮かべることができる。でも、たとえ同じものが目の前にあったとしても見えてくるものはさまざまで、見い出す人がいて初めてそれは形となり息づきだすのだと思った。以下引用■例えば村の神主さんがうちは先祖代々山伏だったのだとキラキラした目で語り、資料を見せてくれるとき。「ミクロ」なレベルで、自分も目の前の人間も変化する歴史の一部なのだとわかる(p.69)2025/06/25
メタボン
25
☆☆☆★ 作者の言葉にある通り、フィクションとノンフィクションの境界線をまたいだような作品集。特に後半は、身体感覚が崩壊して、外側と自分の身体が混じり合うような、マジックリアリズムの世界に幻惑された。ただし現実を独特な言葉で捉える感性という点では、前作の「優しい地獄」の方が印象的で良かった。2025/06/15
Nishiumi
22
ルーマニア生まれの筆者は、文化人類学者。東北の山奥で幼い娘二人と生活し、獅子舞を踊る。ときに映画を引用しながら女性性について思索を巡らしては、エッセイ自体もフラッシュバックのように様々なシーンが切り替わっていく。特に後半は、簡単な解釈を許さず、ぶつ切れで終わる短編映画みたいだ。でもこれも、これまでの筆者の記憶と聞き取りから紡ぎ出した、歴史に埋もれてしまう「誰か」の人生を描く試みなのかも。いずれにせよ、少し学術的で難しいエッセイではありました。2025/08/26
Kanako
21
ルーマニア出身の著者が綴るエッセイ。はじめは、日本での生活における静かな気づきを描いた穏やかなエッセイだったが、後半はかなり色が変わり、無名の女性たちの人生とその痛みが語られる。フィクションを織り交ぜているのだろうが、どこかに絶対にあったであろう人生の痛みが鮮烈で、読んでいるのがつらかった。繊細な感性で世界を見る方なのだろうと思うが、そうせざるを得なかった辛い背景も伝わってきて、ズシンと心に重く残る作品だった。2025/05/10
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