内容説明
源平合戦を題材に、後世の日本文化に多大な影響を与えた『平家物語』。合戦を語ることがなぜ人々の共感を呼ぶ物語となったのか。以仁王の橋合戦から頼朝・義仲の戦い、義経の一ノ谷・屋島(やしま)・壇ノ浦合戦まで、多数の異本に目を配りつつ、合戦の歴史的経過をたどり、さまざまな性格を持つ物語を考察。物語に織り込まれた人々の欲求を読み解く。
目次
『平家物語』の合戦をどう読むか―プロローグ
橋合戦―以仁王の乱と異能の悪僧達―
以仁王の乱
合戦か曲芸大会か
合戦物語の現実と空想
頼朝の東国合戦―頼朝の敗北・復活と三浦一族の奮戦―
頼朝の挙兵
石橋山合戦
小坪坂合戦・衣笠城合戦
富士川合戦
義仲の戦い―木曽冠者の進撃と朝日将軍の最期―
義仲の挙兵と横田河原合戦
倶梨迦羅合戦と義仲の進撃
法住寺合戦と冥なる戦い
粟津合戦と義仲の最期
一ノ谷合戦―源平最大の決戦―
三草山合戦
大手・搦手の正面戦
坂落をめぐって
功名争いと戦場の現実
戦いの体験は文学になり得るか
屋島合戦―義経の奇襲と「八島語り」―
義経、屋島へ
屋島いくさ
「八島語り」をめぐって
壇ノ浦へ
壇ノ浦合戦―平家の滅亡―
壇ノ浦合戦とは
源平最後の争い
安徳天皇の入水
知盛と教経
『平家物語』は合戦をどう語ったか―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワタシ空想生命体
3
P260"「子午線の祀り」は、木下順二の想像力が、石母田正の『平家物語』に対する鋭い読みに呼応して生み出された作品といえようが、潮流説などの歴史学の謬説も、この作品を生んだ重要な要素であることは認めておかねばなるまい。つまり、歴史学の誤りをきっかけに、すぐれた文学が生まれることもあるわけである。合戦から文学が生まれてゆく道すじは、ほんとうに多様であるといわねばなるまい。"2025/03/26
Go Extreme
2
戦争は文学になるか 『吾妻鏡』と『平家物語』の関係 三浦一族の忠節と犠牲 鎮魂としての物語 頼朝助勢と報酬の在地物語 首取りと功名 水鳥の羽音と平家敗走 斎藤実盛、染めた髠 宇治川先陣争い 義仲と巴の別れ 一ノ谷のリアルと功名 猪俣則綱のだまし討ち 非・正々堂々の戦い 義経の坂落とし 敦盛最期と文学 敵討ちの苦悩と文学 屋島の詞戦 那須与一、扇の的 義経の弓流しと意地 壇ノ浦、水夫攻撃説 知盛「見るべき程は」 多様な合戦描写 戦死者への鎮魂 滅びへの共感と叙述 なぜ語られたか問う文学2025/04/26
aeg55
1
平家物語は長大で“物語り”化された歴史小説は今更読む気はしないので、“合戦”に特化した本は自分のニーズには合っていた。900年前の事柄なので検証できる材料は少ないが複数の「平家物語」などから推定してゆく過程が興味深い。 平家物語の主題ではないが、三種の神器のうち”草薙の剣“が壇ノ浦で失われた事は知っていたが、その後“「昼の御座の御剣」をもって宝剣と扱うことにした” というのを知った 更に三種の神器のひとつの”鏡“も平安中期焼けてしまいとっくの昔に実態を失っていた、というのも知らなかった2025/06/27
onepei
1
盛り具合を見極めたうえで楽しみたい2025/05/11
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