内容説明
官能の行きつく果てに横たわる、生の荒廃。生を支えるはずの性の力があまりにも大きく、逆に生を破壊してしまう可能性を秘めている。性の極限には死が存在する――。愛欲の深淵を通して滅びの歌をうたいあげる、立原正秋作品集。「渚通り」「狂い花」「曠野」「双頭の蛇」「永い夜」の短篇5篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
101
五篇の短篇集。自身の「生」を破壊してまでも「性」を追い求める女の執念。本作の女性は、これまで読んだ立原作品の女にはない個性的で愛欲的だ。個人的好みで選ぶと、表題作の『永い夜』に、著者の気迫を強く感じます。夫の出征後、3年守り続けた妻の貞節が突如崩れる。精神的嫌悪に反比例して快楽を求める妻。―女の性〈さが〉と息子の性の疼きが執拗に描かれた作品。この本、私は所々で反駁をしながらも面白く読んだが、読み手の評価(好み)は、完全に二分する作品の気がする。2018/06/12
メタボン
26
☆☆☆☆ 背徳的な作品が多かった。女衒の徹をどうしても忘れられず破滅に向かう女・男娼たち「渚通り」、ともに私生児のピアノ教室の母娘の男に対する鞘当て「狂い花」、蛇を食べることで精力を甦らそうとする不能の夫、その夫に暗黙の了解で男をあてがわれる妻「双頭の蛇」、漁師の娘を犯した息子のせいで、その娘の兄に犯される母が性に溺れていく表題作。他「曠野」。2023/04/21
GaGa
11
再読。名作「冬の旅」の作者である立原正秋はすぐれた官能小説も多く残している。本書もその一つ。解説にも書かれているが、官能小説でありながらエロではなく、人の心の病巣を静かに見据えるかのような作品に仕上がっている。一人隠れて読むのにもってこいの作品です(笑)2010/06/28
agri
2
性の極限に待つものとは。短編集5編2009/08/09
モモイロペリカン
1
サイコホラーのような要素もあって新鮮で面白かった。タイトルがぴったり。夜は明けないまま。解説で、立原と三島由紀夫の対比が書かれているのが興味深い。2022/04/07
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