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内容説明
『兵範記』は、桓武平氏の「日記の家」に生まれた平信範が、21から73歳のあいだ残した記録。摂関家の藤原忠通・基実に仕えた家司にして実務官僚の信範は、権力中枢に関わる情報を入手できる立場にあり、新興の武門平氏との関係も深かった。崇徳院・藤原頼長が挙兵に至った経緯、天皇方の戦力、戦後処理など、古記録からは、『愚管抄』『保元物語』とは異なる摂関家の内部事情が窺える。イメージを一新した貴族の姿を描く、著者渾身の遺作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
116
保元の乱は源平台頭の契機となった大事件だが、渦中で一部始終を目撃した現場証人の日記は想像を超えた生々しい実態を暴露する。全ては藤原忠実が老いてから儲けた次男の頼長を偏愛し、長男忠通に譲った家督を頼長に強引に移したのが原因だった。優秀だが傲慢な頼長は気に入らぬ者を弾圧して鳥羽院や公卿に嫌われ、後白河天皇即位後は失脚確実となった。頼長はプライド故に失敗を認められず、崇徳院と組んで乱を起こしたのだ。史料引用が多く文章も硬めで読みやすくはないが、摂関家の親子兄弟喧嘩が貴族政治に終止符を打った状況がよく理解できる。2025/05/15
若黎
10
井上靖『後白河院』で平兵範の存在を知ってから、読んで見たかった『兵範記』。全訳ではないけれど、保元の乱前夜までの摂関家の様子が読める。没官の憂き目にあった東三条邸も屈辱的な氏長者を受諾することで、回収できたようだが、権力は坂を転がるように落ちていってしまった。2025/05/26
剛田剛
3
•平安期の実務官僚の日記を読むと胃が痛くなる。煩雑な式典の運営と費用や物品の調達、主君の気まぐれ、上位貴族の政争、過労で死ぬ人間が出てくるのも当然である。•慈円が「鳥羽院うせさせ給ひて後、日本国の乱逆と云ふことはをこりて後、むさの世になりける也」と言うのは当然であるが、「武者の武力」が権力闘争の主な言語になっただけで、「武者」はこの時点ではまだ闘争の主体にはなっていなかったようだ。•九条流の兄弟間の対立はお家芸みたいなものだが、タイミング次第ではこの武者の世の到来はもっと早くも遅くもなったのかもしれない。2025/08/14
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