新潮文庫<br> 河を渡って木立の中へ(新潮文庫)

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新潮文庫
河を渡って木立の中へ(新潮文庫)

  • ISBN:9784102100202

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内容説明

第二次大戦後数年を経たヴェネツィア。アメリカ陸軍大佐キャントウェルは、貴族の娘レナータと刹那の逢瀬を重ねる。彼の心の傷を癒すため戦争の真実を明かしてくれとせがむ恋人に、重い口を開いて語ったのは、凄惨な戦いの全貌と自らの判断ミスで多くの部下を殺してしまった悔恨の情だった……。年の離れた愛しい人、戦争の不条理、迫りくる終焉の時。著者自身を投影して描く愛と死の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

63
久々のヘミングウェイ。 「第二次大戦後数年を経たヴェネツィア。アメリカ陸軍大佐キャントウェルは、貴族の娘レナータと刹那の逢瀬を重ねる。彼の心の傷を癒すため戦争の真実を明かしてくれとせがむ恋人に、重い口を開いて語ったのは、凄惨な戦いの全貌と自らの判断ミスで多くの部下を殺してしまった悔恨の情だった」というもの。2025/07/16

Shun

30
ヘミングウェイの長編が新潮社から新たに文庫化。本作に対する評価が今まで海外ではあまり良いものではなかったらしく、此度翻訳者による再発見・再評価が結実し無事刊行されたという印象です。本作はヘミングウェイの戦争ものといえる内容の物語。世界大戦を戦い抜き何か欠けてしまった中年大佐と年の離れた娘との逢瀬が中心となる物語で、いい年したおじさんが娘くらいの若い女性に愛を囁くような場面に作家の妄想が投影されたのだろうと批評されたのは無理もないかもしれない。含意のある科白などに目を向ければまた違う印象を持つ作品でした。2025/06/27

こうすけ

25
数少ないヘミングウェイの長編のなかでは最も日の当たらない本作。ヘミングウェイといえば、戦争や闘牛、狩猟など、動的な題材をあえて硬質で無駄を削ぎ落とした文体で描くところに魅力があるが、本作は辛い戦争体験を抱える老人の話なので、題材すらも静的。年若い恋人との話も、すでに恋が成就してからのやりとりなので動きはない。ゆえになかなかキツい。冒頭に鴨撃ちを持ってきているために時系列も不必要に複雑……。老境ともいえず、若さもなく、なかなか苦しい時期に書かれたことが読んでて感じられる。でも会話のうまさはピカイチです。2025/06/05

フミ

23
某ガンダムのサブタイトルの元ネタなタイトルを見つけて、勢い購入(^^; 第二次大戦直後、ヴェネツィアを訪れたアメリカ陸軍の大佐が、ドライブで、かっての戦場跡を眺めたり、バーで飲んだりしつつ、しだいに「隠された戦争の秘密」を語っていく…という感じの作品です。 途中から、話し相手が20歳くらいの若い女性に切り替わりますが、50歳の職業軍人と、20歳の女性では、会話カードが合わなそうで、大変そうだなぁ…と感じました。刊行は1950年…朝鮮戦争勃発の年ですね。上層部への皮肉が多いので、ヒンシュクを買ったかも…。2025/04/22

北風

14
ヴェネツィアでヘミングウェイって、似合いすぎる。冬、戦いの疲れを癒やすため、つかの間の休息。戦争で人を殺し、それでもまた猟で動物を殺すのはどんな気持ちなのだろうか? 娘ほど歳の離れた美しい恋人、彼女の存在はどんなものなんだろう。想像が難しいが、二人は通じ合っていると感じた。彼女からの贈り物の数々、嬉しくないはずもない。近づいてくる死の気配を感じながら、彼女との時間に癒やされながらも、戦争の痛みからは逃れられない。戦争、傷つけ、傷つけられる。その痛みから、人は幸せになれるものなのだろうか?2025/06/17

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