習近平研究 支配体制と指導者の実像

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習近平研究 支配体制と指導者の実像

  • 著者名:鈴木隆【著】
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  • 東京大学出版会(2025/03発売)
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  • ISBN:9784130301947

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内容説明

習近平とは、どのような人物なのか? 彼が最高実力者となった軌跡を豊富な資料を渉猟し、中国共産党の支配、中国政治の本質に迫る画期的な論考。

【主要目次】

序章 「問題」としての習近平
一 本書の課題――「習近平時代の政治」の全体像の討究(最高指導者、支配体制、社会との関係)
二 時代状況と指導者に対する分析の視座
三 習近平研究の動向、主な先行業績の紹介と批判的検討
四 本書の特徴と独自性――分析、叙述、資料
五 本書の構成と各章の概要

Ⅰ 習近平体制とはなにか

第一章 習近平時代の支配と中国の自由、民主主義の「現在地」――歴史発展と国際評価
はじめに
一 政治の思惟と行動にみる歴史的連続性――革命党、被害者意識と欠落感、歴史の復仇
二 現代中国政治史における習近平体制の位置づけ
三 習近平時代における支配の正統性と「デジタル・レーニン主義」の支配
四 習近平時代の自由と民主主義
五 グローバルパワーとしての存在感と人権をめぐる国際対立
おわりに

第二章 「労働者」と訣別する「前衛」――創立百周年を迎えた支配政党の組織実態
はじめに
一 党員統計の特徴と分析の方法的限界、議論の前提
二 習近平時代の党勢発展
三 党員集団の組織構成の変化とその趨勢
おわりに

第三章 「お仲間」の政治学――ポスト社会主義、比較社会主義の習近平・中国とプーチン・ロシア
はじめに
一 ロシア型権威主義とプーチン体制――ロシア・ウクライナ戦争前の研究動向
二 ロシアのウクライナ侵攻をめぐる中国の学習状況――ロシア・ウクライナ戦争開始後の研究動向
おわりに

Ⅱ 習近平とはどのようなリーダーか――過去、現在、未来

第四章 〈支配体制の申し子〉の政治的来歴――最高指導者になるまでの歩み(1966~2012年)
はじめに
一 資料と分析の視角、解釈の留意点
二 政治論のなかの持続的要素――支配と指導スタイルの要点
三 政治家としての成長と政治認識、政治行動の変遷――任地と職位に伴う変化と発展
おわりに

第五章 中国共産党「領袖」考――政治文書の用例にみる指導者称号と個人独裁の問題
はじめに
一 「領袖」復活の兆しと個人崇拝の懸念
二 政治文書における「領袖」の使用状況とその政治的意味
三 「新時代」の政治的退行と党主席制の復活
おわりに

第六章 「語録の世界」と「闘争」の人――習近平、毛沢東、文化大革命の政治連関
はじめに
一 分析の方法と視角、解釈の留意点
二 『毛沢東語録』と文化大革命期の政治社会
三 習近平のなかの毛沢東思想
四 時代精神としての「闘争」
おわりに

第七章 〈最高実力者〉の誕生――事件は会議室でも起こる(2015~2018年)
はじめに
一 中国政治研究と経営学のリーダーシップ論
二 〈最高実力者〉への勝負と飛躍
おわりに

第八章 〈中華民族の父〉を目指す習近平、あるいは「第二のブレジネフ」か「第二のプーチン」か
――権力、理念、リーダーシップ

はじめに
一 制度による集権、集権によるシステムの変革
二 「中華民族の偉大な復興」をめぐる習近平の政治的思惟
三 「家族と個人の時代」における父権主義的リーダーシップ
四 「習近平時代」の政治発展のゆくえ
おわりに

第九章 台湾有事と「東アジア近代史の総決算」の可能性――台湾統一/併合をめぐる政治論
はじめに
一 習近平政権の台湾政策の特徴と論理
二 「中華民族の偉大な復興」に対する台湾の意義
三 台湾政策の「原風景」、認識の「古層」としての福建省時代
おわりに

終章 習近平時代の中国政治の将来、台湾問題をめぐる日本の政治戦略
一 習近平研究の暫定的な総括と補足
二 権力の伝統に回帰する中国政治
三 台湾海峡での紛争予防に向けた日本の政治戦略

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アミアンの和約

16
中国政治を専門とする著者が、習近平という政治家の実像を描き出そうとしたもの。舌を巻くのは引用している資料の豊富さである。よくもまぁここまでかき集められたものだと感心する。国家主席になる遥か以前の習近平の発言や講演、論文を元にその本音がどこにあるのかを導き出す。学術書でありながら退屈することなくスラスラと読み進められた。ネックなのは8000円近いその値段だろうか、しかしその価値は十分にあったと思う。2025/03/01

勝浩1958

4
台湾有事が起こらないことを祈るばかりです。習近平の執念は恐ろしいから。 それにしても、中国に生まれなくて良かった。2025/06/05

Decoy

1
現在世界で最も強大な権力を持つ人間が、いかにしてそこまで上り詰めたのかを、アクセス可能なすべての資料(+本来はアクセスできない内部資料)を駆使して解き明かす、超力作。全編に著者の意気込みがあふれていて、気持ちが良いほど。恐ろしく詳しい個人研究なのに、対象の人間的魅力がほとんど伝わってこない(著者が距離感を保っているのと同時に、「カリスマなき強権指導者」にそもそも魅力がない?)ところが、極めて興味深い。「習近平という同時代人をモデルとした『現代中国の君主論』」(あとがき)として、見事。2025/07/24

ゆきんこ

0
毛沢東を指針としつつも、革命家としててはなく官僚・役人として振る舞うその人物像について。とりわけ2010年代に関する記述は興味深く読めた。(全く知らなかったから。)2025/07/10

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