内容説明
写真家は東日本大震災とどう向き合ったのか。
本書は2016年1月に赤々舎より単行本として刊行された書籍を文庫化するもの。元本は東日本大震災から4年にわたり、写真家 畠山直哉と文筆家 大竹昭子が重ねた対話を集めたもの。未曾有の災害で母を失い、無力感に苛まれながら、震災で跡形もなく失われた故郷陸前高田の姿に写真家はどのように向き合い、時の変化とともに、未来にどのような希望を見出したのか。
今回は、「出来事」を契機に始まった、畠山・大竹の対話をまとめた赤々舎版に、写真集『津波の木』の刊行を受けて行われた新たな対話を加えて、文庫版の増補版として刊行します。当初の心づもりとは裏腹に、時を経ても、出来事を冷静に受けとめきれない写真家畠山直哉は、さらなる世界の混沌に直面しながらも誠実に世界と向き合い、アーティストとしてなにが出来るのか、アートの果たすべき役割についてみずからに問い続けます。
文庫版の「おわりに」には、2012年水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催された「3・11とアーティスト 進行形の記録」展の図録に収載された、アートの社会的役割に関して考えを巡らした、畠山直哉氏の「震災とアート」に関する文章を再録いたします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Cinita
6
東日本大震災によって故郷と家族を失い、復興とともに当時の記憶や感情が均されていく。その過程で作品の受け止められ方とともに写真観が大きく変化していった過程が、対話の中で理性的に・丁寧に・生々しく語られていて圧倒された。図書館で借りた「気仙川」と合わせて、この時期に読めてよかったと思う。写真家って被写体にカメラを向け撮影する行為についてこれほど深く考えているのかと、理解が追いつかなかった所も多いけれど、自分が写真を撮るときにぼんやり感じていた思いが鋭く言語化されている部分も多かった。折に触れて読み返したい。2025/03/16
Go Extreme
2
写真には倫理はない。だが、写真をどう使うか、どう見るかには倫理がある アートは問いではなく、むしろ"答え"なのではないか 写真にはひとりの人間が、ずっとひとりぽっちで歩いている視点がある 説明できない。ほんと、説明できない 写真は出来事の"余白"を残す 写真の良し悪しという評価自体が揺らいでいる みんなの家にとって必要なのは「目立つこと」ではなく、「寄り添うこと」 ここにあるすべてのものが、もう今はない 写真は"説明"ではなく、余白をつくる 写真には撮影者の身を現場から引き剥がす性質がある2025/04/04
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