内容説明
東京大空襲から80年。パイロットを夢見た少年はなぜジェノサイドの司令官となったのか――。
第二次大戦中、米陸軍航空軍大佐として日本への無差別爆撃を指揮したカーティス・ルメイ。彼は非道な人物だったのか、それとも組織への忠誠心から行動しただけなのか。ルメイの生涯を辿り、東京大空襲がなぜ起こったのか、その背景を明かし、平和について問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
79
表題にあるように、日本における焼夷弾による戦略爆撃を指揮し、多くの街を焼け野原にした人物の評伝。元々は飛行機乗りになりたいがために陸軍航空隊に入ったのだが、そのプラグマティックなエンジニア的気質と、ちょうど航空機が兵器として発展するタイミングに重なる幸運もあり、アメリカが第2次世界大戦に突入するとトントン拍子に出世、最後は国防長官とぶつかりながらも空軍の統合参謀総長にまでなる。戦争を肯定し、「全力でやらなければかえって犠牲が増える」とするその戦争哲学は、合理的だが人道のカケラもない。時代が生んだ怪物だ。2025/05/08
たまきら
41
エイドリアン・フランシスによる東京大空襲のドキュメンタリー「ペーパーシティ」が今月菊川の映画館Strangerで上映され、打ち上げで著者の上岡先生にお会いし、早速本を手に取りました。日米両方の膨大な情報をまとめ、カーティス・ルメイの人生をここまでていねいに追った日本語の本は初めてです。この軍人には優先事項があり、それが非人道的な選択肢であったことは確かで、本人も戦後はきっと理解していたはず。…そして右翼も左翼も納得がいかなかったであろう叙勲は慣例だったのか、それとも誰の力がかかっていたのだろうか…。2025/04/07
yoneyama
19
日本民間人45万人を焼き殺した鬼畜ルメイの評伝。すごくできる人物で、目的を定め、たゆまぬ稽古に励むリアリストで人の話もよく聞く。飛行機誕生と同時代に生まれ、青年期から軍用機の発達とともに人生を歩んだ、飛行機世代ピッタンコのタイミングに必要だった人物。10万人殺すか、50万人殺すかの選択と責任を負えるか?と言われたら普通は無理。彼自身ではないが当時の背景には空軍独立の組織的悲願があり、それで張り切って仕事して結果を出したという側面もある。戦争になってしまったらこうするしかない。始めないよう気をつけよう。 2025/05/15
とも
19
カーティス・ルメイ。東京大空襲を指揮し、その後空軍大将まで登りつめた人。実務家であり、冷戦的考えの体現者。キューバ危機の際も先制攻撃を主張したらしい。さすがにこの人は…。一時期政治家になろうとしていたとかで、本当にならなくてよかったと思う。2025/03/24
hyena_no_papa
12
カーティス・ルメイの名はもちろん以前から知っていたし、日本から勲章を貰ったことも知っていた。しかし、ルメイ個人の時系列というものは知らなかったので、本書は大いに参考になった。書評は他の方が優れたものを書かれているようなのでそちらへ譲るとして、与えられた責務に対し機械的に物事を考えれば、このような人物は、いつ・どこにでも生まれるような気がする。彼は戦争という出来事の歯車の一つと捉えることもできようが、彼のしたことは永遠に消えない。そして我々は彼のことも含めて〝日本の戦争〟を決して忘れてはならない。2025/04/17
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