内容説明
食材として冷凍されていた男が生き返り、おれは咬まれ、殺されかけたわけだけど、冷静に考えるに最初から仕組まれていたんだ――。銀翼戦争後の北の街を、解体師のオズヴァルドと美少年ルカ、白髪の殺し屋エヴェリスたちが駆ける! 驚異の筆力と世界観で、選考会をぶっちぎりで勝ち上がった圧倒的ヴァンパイアミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
65
「あんたは信じちゃくれないだろうが、おれは吸血鬼に会ったんだぜ」という冒頭のセリフから引き込まれる物語。舞台は好事家に人肉を食べさせる会員制の闇のレストラン。この店で解体師として働くオズヴァルドは過去に戦争で36人を殺した強者。しかしある日食材の箱に入ってやって来たのは金髪碧眼の美少年ルカ。彼に噛まれたオズヴァルドは自分が助かるためにルカの妹探しを手伝うことになる。行方不明の妹アンナの足取りを追って闇社会を走り回る2人。協力者も得てたどり着いた真相とは…。ゴシック調の世界観が魅力的なヴァンパイアミステリ。2025/04/08
sin
47
平山夢明が描いたプロの殺し屋が集う会員制ダイナーの秩序と混沌とは違い、永く続いた戦乱に麻痺してしまった社会にマフィアが運営する人肉食に堕ちたレストラン、そこに運びこまれた食材を巡る物語⋯ヴァンパイアを巧みに使って語り手の戦争経験者である解体師を、いや読者を振り回す手管は見事だ。戦争と云う悪行、社会における孤児たちの悲劇を背景にノワールな物語が繰り広げられていく、これほど悲惨な状況に於いて最後の落とし所に甘さを感じてやまないが完成度の高い物語だ。しかし語り手は何故?誰に向けてこの体験談を語ったのであろうか?2025/03/30
shio
34
ゴシックホラーな雰囲気が漂う、美しくも残酷なストーリー!戦争で何十人も殺した殺人鬼オズヴァルドが語るのは、少年吸血鬼との出会い。血を吸われたオズヴァルドが助かるためには、行方不明の吸血鬼の双子の妹が必要になる。秘密の料理を出す会員制のレストラン、犯罪組織に雇われた怪しいオーナー、元女王の殺し屋など、個性際立つキャラクターたちの作り出す世界が美しい。いつの間にか騙されていたとは思わなかった!!永遠の命を得られるとすれば、どうするか?愛のために究極の選択を迫られるヴァンパイア・ミステリー!2025/03/05
らすかる
26
表紙とタイトルに惹かれて手にした作品。いやいや惹かれて良かった~🎶 めっちゃ面白い!!人肉を提供するレストランで吸血鬼に噛まれた解体師。助かるためには吸血鬼の双子の妹を探さないといけない。キャラたちも個性が強く魅力的。飽きのこないストーリー展開。最高でした✨✨ 楽しい読書時間をありがとうございました!2025/04/18
ettyan えっちゃん
8
吸血鬼と美しい表紙に惹かれて読んだけど、とても面白かった。問題は、これがデビュー作で、これ以外にこの作者の本が読めないことだ。もっと読んでみたい。大きな大戦で荒廃する世界を一癖も二癖もある登場人物たちが、文句や愚痴を言いながら生き続けようとする。SF要素もあり、ホラーでもあり、ミステリで、でも、それ以上に物語が面白く、最後までひきつけられる。ここまで悲惨な物語が意外と気持ちのよい物語に昇華されていく。本当におすすめの一冊。これが本当にデビュー作???信じられない。2025/04/20