内容説明
エリートが組織の「犬」になった瞬間!
最高裁に逆らったら法曹界追放、原発差し止めで出世は絶望、警察リークにのせられて冤罪……。正義の神でもなければ、AIでも六法全書でもない。隠されてきた「ナマ臭い」裁判官の素顔を暴き出す傑作ノンフィクション!
原発再稼働の可否を決め、死刑宣告をし、「一票の格差」について判断を下す――裁判官は、普通の人には想像できないほどの重責を負う。その重圧に苦悩する裁判官もいれば、個人的な出世や組織の防衛を優先する裁判官もいる。絶大な権力を持つ「特別なエリート」は何を考え、裁いているのか?
出世欲、プライド、正義感、情熱…生々しい感情が渦巻く裁判官の世界。これまで堅く閉ざされていたその扉を、粘り強い取材が、初めてこじ開けた。「週刊現代」連載時から大きな反響を呼んだノンフィクションが文庫化!
日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
空のかなた
26
良書。あとがきに、本書は当時の講談社第一事業局長鈴木章一氏のすすめで始まり、2年にわたる取材を経て連載記事へ。更に1年にわたる追加取材を経たと。現職裁判官や元裁判官等からの協力がなければ明らかにはならなかっただろう。行政府や立法府に人事と予算を握られているため、政治的色彩の強い案件や最高裁の判例を覆す案件は、特に迎合するヒラメ裁判官でなければ昇格できないばかりか、明らかな冷遇を受ける。何事にも干渉されず、良心に忠実に、証拠を公平に吟味して判断するのが裁判官だと思っていたことが、見事に覆され闇が現れる。2025/04/18
シュークリーム・ヤンキー
5
裁判官の公平な判断を妨げるものは何か。てっきりそれは、行政等「外部」からの圧力なんだと思っていたが、実際は他の何でもない、組織としての裁判所にある「内部の論理」だと。裁判所は非常に閉鎖的な組織であり、民間でいう「ガチガチのJTC」なのだと思い知らされた次第。目からウロコと同時に、妙に納得してしまった。今まで、最高裁判官の国民審査はテキトーに流していたけど、結構マジで調べて考えないといけなさそうだ。。2025/03/30
a.i
2
★★★2025/10/04
とれいん
2
ノンフィクションだけに全部が基本生々しい タイトルの通り裁判官としての良心を取るか出世を取るかの葛藤と組織に逆らえない組織人としての板挟み等 読んでてなんとも言えなくなる読後感だった 2025/08/23
飛鷹
2
「裁判官も人である」。国に逆らえず、組織に逆らえず、人事権を握られると弱く、出世や保身の欲に負け、先例主義の落とし穴に嵌る。そこに勧善懲悪モノのような分かりやすい巨悪は存在せず、それなりの良心を抱えた平凡な人間がいるだけである。 一方本書は、己の良心や正義、常識的な判断に基づいて大きな流れに抗う、気骨ある裁判官の姿も捉えている。弱さに負けるばかりが人間ではないのだ。 こうした人間ドラマの味が私の好みにベストマッチ、またオムニバス形式に近い構成で各章が短めなのも手伝い、すんなりと読了。「おいしかった」。2025/04/04




