内容説明
主人公は、前作『小説 外務省――尖閣問題の正体』に続いて1977年生まれの外交官・西京寺大介。今作の舞台は、イランの首都・テヘラン。イランの日本大使館に左遷された西京寺とCIAのエージェントが繰り広げる苛烈な情報戦を通して、“世界の火薬庫・中東を巡るアメリカの暗躍とそれに隷従する日本外交の無為無策を炙り出す。傑作ノンフィクション・ノベル!
【主な目次】
イランへの赴任
イランの西京寺とルクサナ
西京寺の奔走
「イスラム国」、日本人拘束殺害事件
テロ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kiyoboo
27
尖閣諸島の問題で自分の意見を話したことで、イランに左遷された西京寺。作者は外務省に入省して在イラク大使館の参事官を経験しているので、諸事情が大変詳しい。前回は小説らしく読めたが、今回は説明やら意見が多く大変読みにくかった。また、イランの詩、童話などの文芸作品が随所にでてきているが、読解力が足りないのか?何を言おうとしているのか私にはあまり伝わらなかった。2016/10/03
sayan
19
舞台は中東に移り日本人拘束(人質)事件を扱う。ストーリーは著者の「あの国」に対する持論を軸に展開する。映画「シンゴジラ(2016)」後半の場面を思い出す。『「聞いていた通りだ。ホントにあの国は無茶を押し付けてくるんだな。」「それにしても、この内容はひどすぎます」「この先は国連の名の下に米国が巨大不明生物の処置を管轄する。戦後日本は常にかの国の属国だ。」「戦後は続くよ、どこまでも。だから諦めるんですか。」』だ。前作同様、登場人物が背景説明やコメント解説をする点は別視点で面白い。やはりルポ形式で読みたかった。2019/11/24
誰かのプリン
18
中東も宗教、部族同士複雑に絡み合う難しい地域性がある。そういう難しい地域性の中で中心に動いているのはやはりアメリカだ。陰謀渦巻く中東に、日本の役割・国益を求めて行く外交官達は大変だな。日本はアメリカの準統治国であることが、本巻を読むことでも良く分かる。2019/01/31
さくらんぼ(桜さんと呼んでね)
12
外務省で働く西京寺が左遷にあい中東に飛ばされてからの物語。前作尖閣問題の正体の続編。前作より物語として読むことができた。『行為自体の善悪で行動すべきだ。他人の評価は気にしない』をモットーに日本の国益のために動く西京寺。だが、私の目からするとイランで童話や詩を習い趣味を満喫、トルコ大使館で開かれるパーティーに出席し人脈を作ってるだけのよう。そこで得た情報を日本に送っても相手にされない。本当にこれが現実なんだろうか?前作の時は丸ごと信じたが今作は著者は相当アメリカ嫌いなんだなとしか思えなかった。面白かったが。2016/08/04
MASARU.T
6
この著者は外務官僚として活躍されていた方ですね。 私達庶民からは見えないギリギリの活動や交渉は、正に兵器を使わない最前線での闘いのよう。機密性と、情報収集能力の秘匿性から活躍の様子はあまり公開は出来ないでしょうが、このような外交官の皆さんに敬意を持って読みました。 文化の違いと読解力の低さから海外のジョークや詩は良く解りませんでしたが勉強になりました。2017/06/27