内容説明
2018年7月、オウム真理教の幹部だった井上嘉浩元死刑囚の死刑が執行された(享年48歳)。嘉浩の父は地下鉄サリン事件が起きた1995年から、死刑執行まで24年間に亘り手記を綴ってきた。嘉浩の生い立ち、逮捕された時の様子、死刑が言い渡された瞬間、大阪拘置所からの電話で死刑執行を知らされたときの胸中……。手記は400字詰め原稿用紙で1000枚分にも及び、世間からのバッシング、井上との面会記録、刑の執行までに至る加害者家族の心情が吐露されている。
【主な目次】
序章
第1章 生い立ち
第2章 そして事件は起こされた
第3章 逮捕された嘉浩、教祖との決別へ
第4章 父が裁かれる裁判
第5章 生きて罪を償う
第6章 最高裁判決
第7章 執行された死刑
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うどんまる
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死刑の是非については長らく議論されているし、自分自身どちらの立場にもつけずにいる。 被害者や遺族からすれば、加害者の命をもって罪を償えという思いは当然なのだろう。しかし、加害者が死んで「はい、終わり」とはいかないわけで、永遠に贖罪の機会も与えられず、原因追究の機会も失われることが本当に正しいのだろうか。そして、当事者でない者たちが「あいつは死刑にするべきだ」と騒ぎ立てることに何の意味があるのだろうか。 日本における死刑制度の不透明さにも疑問は尽きない。正義の名の下に犯罪者から人権を奪うことは是なのか。2024/01/16
ls529
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誰しも心が弱くなって、誰か、何かに頼りたいと思う時があると思う。考えることすら疲れて、もう何もかも誰かに決めて欲しいとさえ思ってしまうことだってあると思う。そんな時に、何に、誰に、出会うのか、縋った藁がどんな性質かによって、人生が大きく暗転する・狂っていくことがあるのだと改めて感じた。そして、人を盲信させる・狂信させるカルト教団(教祖)は、本当に罪深いと感じる。宗教は心の平穏、世界平和のためにあるのではないのか。そうではないと感じることが多い。理解できないことが多い。2023/08/25
ykkkj
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犯罪者、その家族が考えていることが綴られているだけ。オウムに限らず、死刑確定囚は同じ。 再審査請求中の争点はほんの一部であり、法的問題は指摘の通りかもしれないが、事実の部分のみで判断しても結果は同じだったと思う。 それだけ、大きな事件を起こした責任は免れない。 死刑賛否両論はあることは認識している。現在の法のもとでは、と考えたい。2023/08/14
大熊真春(OKUMA Masaharu)
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よい、よい。2023/07/11