内容説明
ワーキングプアや失業者が増大する中、赤ん坊から高齢者まですべての人に無条件で最低限の所得保障を給付するベーシックインカム(BI)構想が議論を呼んでいる。従来の議論に欠けていたジェンダーの視点からBIの可能性、限界を検討。シングルマザー、セクシュアルマイノリティ、主婦、働く単身女性、学生…。性別役割分業と家父長制が蔓延る日本社会で家族単位の社会保障政策の周辺に置かれ、生きづらさと貧困をかかえる当事者が、BIを軸に社会構造の矛盾をめった切り。
【主な目次】
はじめに
第Ⅰ部 ベーシックインカムとジェンダー――現代社会における女の位置付けとべーシック
インカム
第Ⅱ部 様々な「おんな」の立場から――ベーシックインカムを語る
第Ⅲ部 座談会 ベーシックインカムは家父長制を打ち破れるか
桐田史恵・瀬山紀子・野村史子・屋嘉比ふみ子・司会=白崎朝子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
xxx
1
女性、特にシングルの親は貧困に陥りやすい。BIの導入において「生活保護があるからいらない」という意見もあるが、そこに到達するまでの職員の無理解・暴力・スティグマがある(執筆者にエピソードを読めば明らか)。そのような中で人間らしい生活を送れるとは思えない。 BIの導入において、予算はどうするのか女性を真にイエから解放するのか、懸念点は多いが搾取的な労働環境を打開する強い手段になると期待している。2024/05/02
green
0
結婚して子供がいて、夫がメインで稼いで・・という現在の生活のモデルケースにあわせて法や福祉が整備されているが、そのモデルケースでない、シングルマザー他の人にとって、特に女性の立場からみてどういったことがおきているのかを知ることができた。そもそもモデルケース自体が多様化し、現状と合わなくなってきている現在、法や福祉も変えていかないとミスマッチが拡大すると感じる。BIについては国の活力が失われない形での実現が必須の条件だと思う。2015/01/28
TAKAJIN
0
シングルマザーなどの「標準家族」になれない人々にとって現行社会保障制度は行きづらいものである、ということがわかる。ひとつの方策としてベーシックインカムが語られているが、それよりも国民番号制による個人単位の社会保障が必要なのかと思わせる内容だった。