内容説明
敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、かつてない密度とスケールの大長篇。『火山のふもとで』前日譚ついに刊行! 上巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
146
松家 仁之、2作目です。本書は、戦後日本「新宮殿」建設物語、その時代の大河小説です。上巻一気読み、続いて直ぐに下巻を読みたいですが、図書館の配本の関係で来週以降にずれ込みそうです。トータルの感想は、下巻読了後に。 https://www.shinchosha.co.jp/book/332814/2025/06/06
アキ
94
デビュー作「火山のふもと」の前編と思われる。スケールの大きな物語。文章や文体は小説の中で一番好きな作家。全作品読んでいる。最近、新潮文庫から続々と作品が文庫化されたので、本作読了後に、火山のふもとを再読したい。さて内容は、皇居の明治宮城が焼失した後に新宮殿を建築する過程を宮内庁、建築家、天皇の侍従、新宮殿の壁画を描く画家、中庭の手入れをする園芸家たちの視点から描く中で、戦後象徴となった天皇と民主主義との両立、桂離宮、法隆寺など日本の木造建築と現代モダニズムとの融合など、実に読み応えがある。下巻も楽しみ。2025/06/01
pohcho
65
終戦後の皇居「新宮殿」造営をめぐる壮大な物語。建設省から宮内庁に出向した技官の杉浦、建築家の村井、侍従の西尾など、いくつかの視点で進んでいく。村井が新宮殿のチーフアーキテクトになるのは後半になってからで、前半は子どもの頃の話から始まるが、お菓子の箱を家に見立てて遊ぶのはさすが後の建築家だなと思う。若い頃の中国や朝鮮への旅の話もよかった。皇太子ご成婚など、皇居の内側の話もとても興味深く読む。造営主管の牧野がかなり嫌な人物だが、おだやかに応対する村井が素敵。でもこの先苦労しそう・・(下巻に続く) 2025/04/15
のぶ
57
まだ上巻を読む限りだけど、戦災で焼け落ちた皇居の新宮殿を造成する話。昭和の歴史から建築に関する様々なことをはじめ、とにかく膨大かつ綿密な物語で、読み通すには大変な労力を使うけれど、細部まで読み逃せない。この先も楽しみです。全体の感想は下巻で。2025/07/07
しゃが
47
敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という制約のある難事業に挑む建築家・村井俊輔たち。彼らを支える者、反目する者、立ちはだかる壁、上巻はここまで。あの『火山のふもとで』の先生村井のバックグラウンドに沿っていかに建築に目覚めたか、心休まる建築とはが、明治以降から戦中、戦後の日本や皇室の変遷、学閥・職種のヒエラルキーとともに回想録かのように描かれている。人間の清濁併せ持つことへのむなしさもあるが、詰め込まれた建築や自然描写の美しさを脳内映像化することの愉しさを味わった。2025/04/29
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