内容説明
島に帰ろう。家族の声を聞きに。
お盆を迎え、久しぶりに九州のとある離島に集まった吉川家の面々。
この島ではお盆の夜に、島ならではの行事が執り行われる。
その行事に向けて忙しなく動く家族の声を、敬子は眠たげに聞いていた――「港たち」
帰省先には、相変わらず酒に浸る父や、知り合いの家を飲み歩く男がいた。
昔のことに水を向けると、彼らは仕事で羽振りが良かった時代の武勇伝を語り出す。
この頃、社会はコロナ禍から回復しつつあった――「明け暮れの顔」
緩やかな坂の上にある教会風の建物で行われる、従妹の結婚式。
稔は煙草を一服するために式場の外へ出ると、空を旋回する鳶が目に留まった。
ふと、幼い頃の夏に、父と島で見た光景がよみがえる――「鳶」
……など、吉川家のとある1年間をたどる豊かな語りの5編を収録した、
芥川賞受賞作『背高泡立草』に連なる小さな島の物語。
【著者略歴】
古川真人(ふるかわ・まこと)
1988年福岡県生まれ。國學院大學文学部中退。
2016年「縫わんばならん」で第48回新潮新人賞を受賞しデビュー。
2020年『背高泡立草』で第162回芥川龍之介賞受賞。
その他の著書に『四時過ぎの船』『ラッコの家』『ギフトライフ』がある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイシャ
23
長崎の島に住む90歳を超えた敬子。表題作はお盆に帰ってきた子供たちやその孫たち、時にこの時期に戻ってきた亡くなった人たちの会話でできている。けたたましいほどの会話の応酬。それは時空を超えて現在も過去もまた同じ場所にあるようだ。家族のイベントには集まるこの家族の話が5編。孫の1人稔は物書きで、多分作者の分身なのだろう。本作の前に芥川賞を取った作品もこの家族の話らしい。なかなか読みにくい作品ではあった。2025/03/13
そのとき
4
平穏でありながら騒がしい、家族の様子。前作のような、はっとする読後感はなし。(私自身の問題かもしれない)2025/03/03
華形 満
3
途中から読了断念も過るほどに難読作。この文節・段落無視のとにかく文字を連打するかの様な手法が著者の意向だとすれば私は真っ向から「貴方は絶対に間違っている」と言いたい。編集者は何も異を唱えなかったのだろうか? 確かに、文章を段組み無視で続々重ねてページを埋め尽くす手法は紙面節約にも繋がり「環境に配慮した」作品でしょう?でもそれで満足ですか?芥川受賞者というのは読者ファーストを置き去りの自己満足作者と覚えたり=という作品。2025/03/14
やっつん
2
長崎の離島に住む祖母と親戚孫達の短編集。最初は句点が少なく読むことに難儀したが、慣れると、連綿と続く思考の流れが見えてきたり、長崎の方言の心地よさを感じたりした。ネタバレすると、悪人はほぼ出てこない。2025/04/16
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2025年1月初版。初出「すばる」2022年4月号、23年7月号、12月号、24年2月号、7月号。加筆・修正。『背高泡立草』の続編でしょうか?吉川浩のモデルは著者かもしれません。2025/02/17
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