岩波現代文庫<br> ジャーニー・オブ・ホープ - 被害者遺族と死刑囚家族の回復への旅

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岩波現代文庫
ジャーニー・オブ・ホープ - 被害者遺族と死刑囚家族の回復への旅

  • 著者名:坂上香【著】
  • 価格 ¥1,573(本体¥1,430)
  • 岩波書店(2025/01発売)
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  • ISBN:9784006033507

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内容説明

殺人事件の被害者遺族と死刑囚の家族がそれぞれの体験を語り合う旅,「ジャーニー・オブ・ホープ」.娘を殺されたアン,息子が死刑囚となったバーバラ,妻を殺され殺人の容疑をかけられたジョージなど,この旅に参加した人びとの心の葛藤を丹念なインタビューで綴る.単行本刊行後の参加者たちのその後のエピソードも収録.

目次

プロローグ 「旅」の始まり
出口の見えないなかで
一枚の新聞記事
四二年前の心の傷
Ⅰ アン
娘の命日
「自分の手で犯人を殺したい」
復讐へと駆り立てられた息子
無実を訴える死刑囚の弟
陪審員の苦悩,保護観察官の葛藤
死刑に代わる刑
アンの自宅で
バーバラとの出会い
死刑囚の家族を訪ねて
二つの出会い
被害者遺族ベロニカ
人まちがい
Ⅱ 新しい被害者運動
死刑執行前日
死刑執行をめぐる刑務所とメディア
死刑を支持する人々,反対する人々
被害者の父親
午前〇時一分
アメリカにおける被害者運動
処刑に立ちあうこと
MVFRの成り立ち
「ジャーニー」の誕生
死刑反対ウォーク
Ⅲ バーバラ
「毎日生きる口実を見つける」
バーバラにとっての「ジャーニー」
冷めた瞳
事件
アンとの出会い
ロバートの子ども時代
取材拒否
二つの死
耐えがたい苦しみ
Ⅳ ロバート
再会
手紙
初めての面会
インタビュー
希望と絶望のあいだで
Ⅴ 死刑囚の子ども時代
復讐の目
誕生日とギャング抗争
「自衛」する子どもたち
少年死刑囚ジョセフ・キャノン
幼児虐待の被害者
Ⅵ アバ
アバを訪ねて
死刑囚との面会
かけがえのない人
娘からのバレンタインカード
哀しみの段階
怒りと憎悪の段階
孤独,そして離婚
死刑が執行されていたなら……
何もしない命日
Ⅶ ノーガード一家
メディアからの攻撃
自宅を訪ねて
死刑囚ジョンの生い立ち
ソシオドラマ
希望の証
「生かしておいて,それしか言えない」
サポーターの過去
Ⅷ ジョージ
解決していない事件
妻を目の前で殺されて――
子どもたちに支えられた日々
高校の授業にて
「これ以上苦しめないで!」
刑務所で負った傷
息子トム
トムの目に映った父親
娘クリスティー
親と子にとっての「ジャーニー」
Ⅸ 対話
連邦最高裁判所の前で
対話の始まり
ただの殺人?
死刑に対する立場
利用された事件
受けとめるだけ
和解とは――
癒しきれない苦しみ
Ⅹ 「旅」は続く
それぞれの「ジャーニー」以後
うれしい知らせ
怒りと哀しみと苦しみを抱えて
エピローグ
私の「被害者体験」
私の「被害感情」
ありのままを受けとめる
暴力の悪循環から抜け出るために
四半世紀後のポストスクリプト
――岩波現代文庫版あとがきにかえて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

58
苦悩の中に見出したい光、模索。表題はその一端。掲載事例でみられるように、時間、吐露・傾聴、”交流”はもれなく一助。一方、普遍的な”尊厳”すら、解釈次第で差異が生じる現実。考察をより複雑にさせるのが「論点交錯」。主軸の死刑制度を囲む、冤罪問題や生い立ち/非健常者などの事例が、思考を三次元・四次元の世界に誘う。更に、意味と意義が問われる「比較」も迷宮を深める。罪による死vs.罰による死。掲載事例の被害者vs.加害者関係者の”痛み”度合は、ましてやである。正解の有無、意味が問われ続ける。2025/08/01

てくてく

5
1999年に出版された『癒しと和解への旅』の文庫版としての復刻。死刑囚の家族とその犯罪被害者遺族とが出会い、体験し、会話を交わすことでそれぞれに影響を与えていく「ジャーニー・オブ・ホープ」の取材を通じて著者が犯罪の加害者と被害者両方を出来る限り理解しようとしている姿勢に共感した。被害者遺族に対して刑事司法関係者が犯人を逮捕して、さらに死刑にすることであなたの気持ちが収まるでしょうと語ってしまうことの功罪などについて考えた。2025/01/25

Go Extreme

2
死刑に関する異なる立場の人々の感情: 死刑支持者・反対者の感情 デモや抗議活動: 死刑執行に対する抗議 被害者の家族の複雑な立場 死刑制度の影響と社会的背景: 厳罰化政策の影響ー「執行のボランティア」 経済的要因 死刑反対運動の活動: 「ジャーニー」の実施 コミュニティへの影響 複雑な家族のダイナミクス: 死刑囚の家族の苦悩 他の被害者家族との交流 社会的な認知と教育の重要性 死刑問題ー法律的な議論+深い人間の感情や社会の構造に根ざした複雑な問題 さまざまな立場からの視点を理解し対話を重ねる必要2025/01/30

雨宮菖蒲

1
ポッドキャストで紹介されていたので、買って読んでみた。本書は今から30年ほど前のアメリカの死刑をめぐる状況について書かれた本なのだが、ここに書かれている当時のアメリカの死刑制度やそれを取り巻く社会の様子が、あまりにも現在のアメリカと違い過ぎて驚いた。一人の老人を殺した15歳の少年に対して死刑判決が下される一方、三人の未成年を殺害してレイプした軍人は司法取引の結果、25年の懲役刑で済むなど、量刑の幅が広すぎる上、死刑判決に至る手続きが不公正で粗雑すぎる。2025/02/14

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