内容説明
「他者を理解する」とは,どのようなことなのだろう。社会調査がますます重要視されるなか,第一線で活躍する研究者が手の内をすべて明かし,質的調査の醍醐味を伝える。初学者から一般読者まで,読みながら熱気とおもしろさを体感できる,新しい教科書。
目次
序 章 質的調査とはなにか(岸政彦)
1 社会学と社会調査
2 社会学における「データ」とは何か
3 量的調査と質的調査
4 質的調査とは
5 「質的」とはどういうことか
6 「他者の合理性」の理解社会学
第1章 フィールドワーク(丸山里美)
1 フィールドワークとは
2 テーマ設定
3 フィールドワークをする
4 データ分析と論文の執筆
5 フィールドワーク──まだ見ぬ他者と自分と出会う
第2章 参与観察(石岡丈昇)
1 「気分」からの立論
2 調査の中から問題設定を立てる
3 フィールドへの没入
4 論文執筆
5 参与観察──リアルタイムの社会認識
第3章 生活史(岸政彦)
1 人生の語りを聞く
2 生活史調査の歴史
3 実際にやってみる
4 生活史を「研究」する
5 最後に──生活史は「それ自体で面白い」
ブックガイド(石岡丈昇・丸山里美)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケー
21
質的な調査の中でも「フィールドワーク(丸山)」「参与観察(石岡)」「生活史(岸)」の三つに焦点を当て、その技法を著者の経験を踏まえながら語ってゆく。大学時代の専攻が近接分野の民俗学なのでなんとなく懐かしさも覚えながら読了。個人的に一度やってみたいのは「生活史」。一回自分のばあちゃんでそれっぽいことはやってみたけれど、確かにこれってとても魅力的。人口が年々減っている自治体に昔は映画館やボーリング場があったなんて驚きの話も聞けたりする。いつか自分の興味にあった聞き取りをやってみたら楽しいだろうなと思う。2020/05/28
katoyann
15
社会学部の学部生向けに書かれた質的社会調査の入門書。方法論はもちろん、背景にある理論や社会学史まで学べる。従来の社会学者による質的調査に関する概説書よりも、マイノリティの立場に立脚した批判的な問題意識を有しているので痛快である。2024/06/14
テツ
14
正直なところ社会学という学問についてはかなり懐疑的なのだけれど(それの第一人者とされている方々が総じてぼくの好みとは合わないので)フィールドワークについてのあれこれや、自分のそれとは根源から異なっている他者の価値観や合理性とどう対峙していくかというお話はとても興味深く面白かったです。他者に対する想像も理解(したつもりになる)も大切だ。それはそう思う。でも社会を構築する上ではどうしたって切り捨てなければならない部分って存在するわけで、そこをどう考えていくのかって群れを成すぼくたちの永遠のテーマだよなあ。2023/02/01
二人娘の父
13
岸先生を通じて社会学を知った自分にとって、必ず読むべきだった教科書。「同化と他者化」で展開されていた桜井厚の批判なども、理解できるようになった(気がする)。フィールドワーク、参与観察、生活史聞き取り。この三つのノウハウは、私が仕事で他者と接して理解する際に、非常に役立つものでもある。大いに学んでいきたい。次は「街の人生」へと進むのである。2021/05/27
やまやま
12
人から聞き取りを行うことについてのノウハウが丁寧に述べられています。聞き取り初心者に向けてのものですが、社会学的な取材に限らず、他人の日常行動の理解を助けます。人の話はできれば勝手に話してくれるものを聞くのが一番で、むしろそういう舞台を上手に作ることはコツの一つであろうと感じました。調査は暴力的な側面を持つという点、またモノの書き手はその葛藤を抱えながら自己実現(表現)を図るということも共感できるところです。取材でのハラスメントや相手にどうしても共感できない場合の例、またその解釈も興味深いです。2021/01/20
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