内容説明
「なんでもない透明なものになるの」「なんでもない透明なもの?」「世界に身をまかせればいいのよ。自分が自分でいられるにはどうしたらいいか考え続けていく方が、ずっとたいへんじゃない?」夏休みが明けてすぐ、次いで年が明けた二月に、少女が校舎の屋上から墜落死する。ふたりは中高一貫の女子校で同じ美術部に所属する高校三年生だった。時を置かずして、学園では三度目の墜死が。遺された未発表の小説、アルファベット・ビスケット、密室殺人、そして「ヘビイチゴ・サナトリウム」――少女期の心理のゆらぎを鮮烈に描出する長編ミステリ。/解説=笠井潔・久美沙織
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
くろねこ
8
江崎ハルナを始めとする事件の主要キャストたちはいずれも傲慢で自分のことしか考えていなくて、思春期の痛々しさに満ちていた。これを瑞々しい悩みとして共感するには、わたしは些か歳をとりすぎている。2025/06/20
bluelotus
7
★☆☆☆☆ ほしおさなえさんのミステリー作品とのことだが、男性教諭がずっとハルナ!ハルナ!と女子高生の幽霊を追いかけていて何だか気持ち悪さを感じ50ページで挫折しそうになったが100ページまで頑張って読み、やはり挫折(笑)2025/03/18
りこ
4
江崎ハルナが屋上から落ちて死んだ。美術の才能を評価され将来を嘱望されていた矢先、事故で目がほとんど見えなくなってしまっていた彼女は、なぜ急に一人で登校して落ちたのか? 書き手不明のプロローグに始まり美術部の海生・双葉、国語教師の宮坂、その同僚の高柳、そして同じく書き手不明の作中作。細切れになった視点の狭間を少女たちが脆く落ちていく。あやふやで不確かな時間をくぐり抜けられず大人になれなかった彼女たちに、憧憬のまなざしを向けることはもうできない。うつくしいと思えた時代があったことを、しかし忘れはしないだろう。2025/04/03
橙なオレンジ
3
面白い。 「青春ミステリは遠いところに手を伸ばすための作品」とはよく言ったものだが、一方で思春期の閉塞感というのもまた表裏一体の特色だろう。本作はその意味で非常に自閉的だ。皆が皆、世界ではなく己の内側にばかり目をやり、その癖自分の言葉では語ろうとしない。極端なまでに閉じた構図が偏執的に繰り返され、最後にはそれが形式として表れて終わる。表紙からはあまり想像しなかった変わった物語だが、この読み味を好む人も多いだろう。2026/02/22
まっち
2
本文:80点。笠井潔と久美沙織の評論:100点。2026/04/10
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