内容説明
祖父が採ってきたウニの殻割りの手伝い、利尻の夏、父の軽トラ…。利尻島で生まれ育ち、今は札幌で書店員として多忙な毎日を送る著者が、ふとした瞬間に頭に浮かんでくる故郷の記憶を綴る。note掲載を書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
116
北海道の更に北に位置する『利尻島』に生まれ、そこで中学まで過ごし、巡り巡って道内にて書店員として働く現役バリバリ書店員さんの北海道最北端あるあるエッセイです。個人的に少し前まで、最北端エリアに住んでいたモノとしては、十分に楽しませてもらえる内容でした。ただ、大半の方がなかなか最北端には来たことがなく、むしろ離島には行ったこともないと思われるので、作者さんのコミカルな描写が十分には伝わりにくいかもしれません。『利尻島』で暮らす人々の飾り気のない生活や人々の交流が生き生きと綴られており、ほっこりできました。2023/11/25
K1
17
「世間体なんてものを気にも留めない父と母方の祖母が、この世の誰よりも素敵で格好良い」と思った『父の軽トラ』と、「本がある。感情が生まれるーそれが愛おしい」と言い切る『「子どもの頃から本が好きで」考』が特によかった。2023/12/05
ちいこ
12
本好き仲間が紹介して、それを面白く思った別の仲間が自分の息子が札幌に行くというので、札幌の書店で利尻昆布のしおりが付いた本書を買ってきてもらう、という流れでお借りしました。何かいいな、と思いながら読みました。2024/02/16
chietaro
9
北海道の地方在住なので、頷きながら読みました。本屋が減っていく現状は切ないです。ネット本屋もリアル本屋のどちらも良さはあるので、共存できるといいなぁと思いました。「子どもの頃から本が好きで」、その理由を何度も問い返したくなりました。続編読みたいです。2024/06/22
カエル子
8
稚内からフェリーじゃなきゃ行けないと思い込んでいた利尻島。札幌から飛行機で行けることを教えてもらった。なぜ今まで思いつかなかったんだ笑。島ではどんなに優秀でも、外に出た途端に上には上がいることを思い知らされ、打ちのめされる。野球も勉強も。でも、外に出たからこそ見られた世界。生きていくのは大変だけど、悪いことばかりでもないし、札幌で書店員って、わたしからすると憧れに近い着地だし、彼にはまだまだ未来があるし、島に戻っても戻らなくても、そのまま流れていくでも良いと思うぞー。ゆるりと流れる心地いい読書でした。2025/03/12