ちくまプリマー新書<br> 読めば分かるは当たり前? ――読解力の認知心理学

個数:1
紙書籍版価格
¥990
  • 電子書籍
  • Reader

ちくまプリマー新書
読めば分かるは当たり前? ――読解力の認知心理学

  • 著者名:犬塚美輪【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2025/01発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480685131

ファイル: /

内容説明

読解力は一朝一夕で身につくものではなく、絶えず鍛えていかなくてはならないものです。まずは、自分の読解力の現状や、自分が望んでいるような「読解力がある状態」にどうやったらたどり着けるのか、その道筋を考えます。そして、自分の読解のクセやつまずきを知って、読解力を高めるためにもっともよい練習方法は何か選べるようになる事が重要です。この本を通して、皆さん自身で練習方法を見つけたり、練習方法を編み出すことができるようになってほしいと思います。 【目次】第一章 三つの読解/第二章  読んで理解するための心の「道具」/第三章 文字を読むのは簡単か/第四章 単語を知っているということ――ボキャブラリー/第五章 文の意味を読み解く/第六章 文章全体を把握する/第七章  表象構築のために何ができるか/第八章 心を動かす読解/第九章 状況モデルの批判とアップデート/第一〇章 おわりにーー読解力の地図は描けたか

目次

はじめに/読解力は身につくのか/そもそも読解力とはなんなのか/第一章 三つの読解/1 表象構築の読解力/二種類の表象構築/状況モデルは必要か/2 三種類の読解の目的地/心を動かす読解/批判的読解/3 三つの目的地を目指して/第二章 読んで理解するための心の「道具」/1 「心のメモ帳」ワーキングメモリ/ワーキングメモリの限界/2 スキーマ/3 読解で使われる“心のメモ帳”と“フィルター”/第三章 文字を読むのは簡単か/1 線から文字への自動変換/2 文字を読めるのは当たり前か/教育の必要性/発達性ディスレクシア/3 文字を読めないことによって生じるつまずき/4 解決は可能か/第四章 単語を知っているということ──ボキャブラリー/1 単語を知らないことはどのくらい問題か/2 三種類の語彙/3 知っている単語を増やすには/4 適切な意味を選ぶ/5 語彙と読解/第五章 文の意味を読み解く/1 文をどのように「見ている」か/2 統語の基本─語順/3 ヒューリスティックを用いた意味理解/4 複雑な文の意味を理解する/5 文の外の情報を用いた推論/6 教科書は案外難しい/第六章 文章全体を把握する/1 命題と命題をつなげる/2 命題を整理する/3 トップダウンのプロセス/範囲を絞って考える/“先行オーガナイザー”の効果/4 文章のジャンルによる違い─物語のほうが読みやすいのはなぜか/5 読み上げることと分かることの差/第七章 表象構築のために何ができるか/1 文章の要因、読み手の要因/2 読解能力とはなにか─読解のスキルと方略/3 読解方略を身につける/どのような方略があるか知る/使ってみる /第八章 心を動かす読解/1 心を動かす読解に正解はあるのか/2 物語への旅/3 物語が人を変える/4 作戦としての物語説得/5 自分の枠を広げる力としての読解力/第九章 状況モデルの批判とアップデート/1 「わからないことがわかる」─メタ認知/メタ認知の働き/批判的読解におけるメタ認知/2 間違った知識を修正する/3 誤情報に対抗するためにできること/4 持っている枠を超える力としての読解力/第十章 おわりに──読解力の地図は描けたか/もっと知りたい人へ/最後にひとこと……

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

TS10

31
認知心理学の観点から、読解のプロセスと種類について解説する。文字の同定から、統語、文章や文脈の把握まで、改めて説明されると、本を読む際に一度に行われているという認知作業の複雑さには中々驚かされるものがあった。勿論、評者にとって、日本語の読解では殆ど円滑に出来ていることばかりだったか、外国語での読解の際には、色々参考になることもある様に思う。また、物語を読む際には、脳内の既存の知識との接続が切れ、説明文よりも影響を受けやすくなるとの指摘には、よく目にする広告の手法が思い浮かび、非常に腑に落ちるものがあった。2025/08/04

yunyon

28
読むことは、自分の枠を広げること。心を動かしたり、批判的に読んだりして、自分の中にあるものを再度確かめたり、無いものは取り込んで。今の子どもたちは、私たちの世代より、たくさんの字も読んでるし、たくさんの画像も見ているけど、見たいもの、知りたいものは深く知って見ているけれど、そこに見たくないもの、嫌なものは取り入れないから、だからこそ、本だったり、新聞だったり、教科書だったり、自分で選べないものも取り入れていくことを忘れてほしくない。2025/02/21

よっち

24
文章を読んだときの感動といった心の動きはどのように起きているのか。認知心理学の観点から、読解の複雑なプロセスを解明してよりよく読む方法を考える1冊。読解力は身につくのか、読解力とはなんなのか。文字を認識して表現されている世界を再現するプロセスは読み上げるだけとは違うこと、内容に関する知識が読みのプロセスを助けること、物語に感動することがその世界を豊かにすること、知識のアップデートもやり方が大事だったり、読んで理解するためには自分の語彙や知識といったバックグラウンドも重要で、誤情報の特徴5選も良かったです。2025/03/11

タルシル📖ヨムノスキー

23
いわゆる〝ディスレクシア(識字困難)〟に関する書籍ではありません。そもそも読解力ってどんなチカラなのか、読解力を伸ばすにはどうしたらいいのかについて、認知心理学の立場から解説している本。難しい専門用語もたくさん出てくるし、なにせ脳のメカニズムの話なので、一度読んだだけでは理解が追いつかず、読みながら「もしかして自分は読解力が足りてないんじゃないか?」なんて思ったりもしました。たくさん本を読めば読解力がUPするというわけではないし、自分の苦手な部分を意識するだけで、これからの本の読み方が変わる!…かなぁ。2025/04/26

Nobuko Hashimoto

21
タイトルとレーベルから気楽にスラスラと読めそうに思うが、そうでもない。読解力とは何か、人が文章を読むときにはどのような現象が起こっているのか、読めない人は何ができていないのかなどを認知心理学の見地から説明する。なるほどと勉強になることはなったが、この本は一体誰に向けて書かれているのだろうという気も。「読める」若者で心理学に興味がある層とか教育関係者だろうか。2025/05/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22358774
  • ご注意事項

最近チェックした商品