内容説明
地球にとつじょ悪魔が現れ、不浄な世界は白く覆われんとしたとき、女、鮫を踏みてこの地に渡りきたりき……SF界の巨匠がおくる、新たなる国創りの物語。五年ぶり、待望の最新作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
60
群像20年1月号:未の木、19年4月文学ムックたべるのがおそいvol.7:ジュヴナイル、18年12月河出文庫刊NOVA19年春号:流下の日、21年6月柏書房刊kazenotanbun夕暮れの草の冠:緋愁、文藝19年夏季号:鎭子、22年秋季号:鹽津城、の6の短編と覚え書きを2024年11月河出書房新社から刊行。全ての話で提示される世界観が独自で、圧倒される。平行世界のような描写や、ジェンダーフリー、生体細胞素子を使用の生命形成技術等いずれもインパクトがある。純文系雑誌に発表されていたというのが面白い。2025/09/30
keroppi
58
交わらない時間と空間が微妙に響き合い不思議な現実感を生んでいく。パラレルワールドと言えばそうなのかもしれないが、そうとも言えない感情が浮き上がる。この感覚は、飛浩隆特有の世界であり、その世界に浸る喜びをおぼえている。2025/04/19
藤月はな(灯れ松明の火)
54
「海の指」と思考がリンクする「鎭子」は、鎭子が生きる為に別の世界(同作者の短編「海の指」の世界)を生み出し、儘ならぬ現実と重ねる様に体中が響き合うような感覚を味わう。また、鎭子の心に抱えている屈託や本音の表現が絶妙なのだ。この言葉たちが表現できなかった自分の中の諦めや燻る怒りへすとんと落ちてきて安心した。特に結婚を勧める母に「うっとうしいに決まっている。私と暮らせば、些細な負担が始末に負えない火山灰のように降り積もる。人生の選択肢をいくつか捨てることになる。こっちだって気が重い」の一文がクリーンヒット!2025/02/10
小太郎
42
「グラン・ヴァカンス」以来、飛さんの小説を読むといつもこちらの想像力を試されているような気がします。この短編集も言葉による暴力ともいえる、壮麗で絢爛たる異世界飛ワールドに満ちた一冊でした。単にSFという枠に収まりきらない広がりを持った世界を堪能できるのは中々得難い読書体験でした(飛さんの小説は大体そうですが)。この中ではやはり圧倒的に迫力に満ちた「鹽津城」そして「自生の夢」にも繋がる「ジュブナイル」「鎭子」が読めたことは嬉しかったです。また新刊を待つことになるのか(笑)★42025/07/31
あたびー
39
著者初読み。海水が塩(鹵/鹽)と真水に分かれ塩が陸地を襲う世界と、塩が病として身体を襲う世界の、創作と現実あるいは並行世界として干渉しながら進む中編「鹽津城(しおつき)」が圧巻。並行世界を題材にした叙情的な「未の木」、ビジョンを他人に共有させる友人との思い出「ジュヴナイル」、腕輪と呼ばれるデータシステムを移植され一見理想的であるかのような社会に生きる人間の抗いを描いた「流下の日」、謎の宗教と関わったあと現実の揺らぎを覚える「緋愁」、心の逃げ場として自分が想像した島のなかでの暮らしに逃げ込む「鎭子」2025/12/22
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