内容説明
有無を言わさぬ「正義」が社会を覆っている。そして、一度「差別主義」「排外主義」のレッテルを貼られると、それを覆すのは容易ではない。だが、差別と言われていることは本当にそうなのか?
『「弱者」とはだれか』の刊行から20余年。ごく普通の生活感覚を手掛かりに「差別問題」の本質を問う。
第1章 ポリコレ現象はなぜ広まるのか
第2章 非常識なポリコレ現象の数々
第3章 女性差別は本当か
第4章 性差の変わらぬ構造
第5章 LGBTは最先端の問題か
第6章 攻撃的なバリアフリー運動はかえって不利
第7章 ポリコレ過剰社会の心理的要因
第8章 ポリコレは真の政治課題の邪魔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
50
以前読んだ『「弱者」とはだれか』の内容に非常に共感を覚えたので、最新のこちらも読んでみました。確かに現在のポリコレは過剰すぎるのでは?と自分自身でも思う時が度々あります。何でもかんでも「差別はいけない」と一括にしてしまう風潮はいかがなものか。中々鋭い点をついた著書だった。 2022/04/12
ふみあき
25
20年くらい前は著者の本をよく愛読していて、当時は穏健保守の論客ってイメージだったけど、近年のネット上での発言などを見るに、どうも右側に転落してしまったきらいがある。本書でも反ワクチン等、陰謀論の影がチラチラするが、それを差し引けば、昨今のフェミニズムやLGBTをめぐる主流的言説への異議申し立てには、おおむね同意できる。私のような(エリートならざる)庶民から見ると、やはり昨今のリベラルは、その政策課題を「特殊な符牒を帯びた人々」ばかりにフォーカスしすぎるし、逆に「普通」の家族や労働者に対しては妙に冷淡だ。2021/12/29
テツ
21
「社会に認められた弱者」の権利ばかりが声高に主張される今日この頃。平々凡々な社会人であるぼく(たち)がポリコレ的な活動を目にしても、いろいろ持て余したハイソな方々の暇潰しにしか思えないのだけれど、そうした問題について再確認して考え直すきっかけを与えてくれました。「差別」だと叫びさえすれば意を唱えることすらできない構造はどう考えても健全ではないし、まずは食うに困っているような死に直面している人間を救う方が先な筈なのにポリコレバトラーの方々はそうは思わないらしい。歪んでるよな。2022/02/23
takka@乱読
19
最近のポリコレブームは本当に酷い有様だ。女子スポーツにトランスジェンダーの参入・広告にクレームや言葉狩り。映画やゲーム界もそうだし、特に欧米はポリコレが盛んになっている。この本で著者が訴えている、「少数者が差別と叫ぶことによって、本当に必要なデフレ経済対策などの政策に時間を取れないこと」は本当に大問題だと感じる。差別というレッテル貼りに対抗することができない同調圧力に左翼も右翼も公務員も会社も踊らされ、普段の生活で苦しんでいる多数の「弱者」が無視される社会になっていくのか不安である。2022/01/25
Mark X Japan
10
アメリカでは、同じようなことで国を分断されています。日本にとっても、対岸の火事では二と思います。日・米・欧、いずれも政治勢力が関係しているようです。敵にうちにあり、が現実になりつつあります。☆:4.52022/07/15