内容説明
秦に祖国・韓を滅ぼされた張良は、秦への復讐と韓の復興を誓う。多くの食客を使って素早く情報を集め、劉邦に軍略を授けてその覇業を助けた張良の鮮烈な生涯を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
49
最近の宮城谷さんでは秀逸ではないかと。一晩で一気読みした。孤高の天才的な描かれ方の多かった張良ですが、チームプレーの部分もしっかり書き込まれたのは宮城谷さんらしいと思いました。2025/04/01
竹園和明
41
武闘派の項羽を破り漢を建国した劉邦の腹心で、蕭何•韓信と共に「漢の三傑」と謳われ主に作戦参謀の役割を担ったのが張良だ。『三国志』の諸葛亮孔明は超能力者のような描かれ方でウソ臭かったが、本作にそんなウソっぽさは一切ない。かつて祖国を滅ぼした秦の始皇帝への憎悪を胸に秘め、劉邦の側近となり彼を支え秦を撃破。その後、楚の強豪項羽にも勝利した。本作は変な盛り上げ方をせず淡々と史実を描いており、それが逆に重厚さ生んでいる。やはり歴史にハードボイルドな脚色など一切不要。重みと凄みを伝えるのは作者の力量だと痛感した。2025/03/01
まえぞう
32
張良といえば、簫何、韓信と並ぶ漢草創時の三傑ですが、他の二人と比べて現世から一歩引いた感じがします。宮城谷さんですから、いつも通り有名な逸話がでてくる後半は駆け足です。作者の想像を膨らますことができる余り取り上げられてこなかった前半生に力が入るのも理解できますが、有名な話しを宮城谷さんの知識と筆力で大きく展開させてもらいたくもあります。2025/02/26
朗読者
25
10年以上ぶりに宮城谷さんの中国歴史小説を読みました。漢の高祖劉邦を支えた三賢臣の一人で、天才軍師として名高い張良が主人公。春秋時代、戦国時代の英雄達の名が会話の端々に登場して懐かしさを感じました。一方で、張良のカッコよさは味わえたものの、宮城谷さんはこういう天賦の才を持って生まれてきたような非の打ちどころがない天才を描くのはあまり得意ではないのかな。もう少し泥臭さがあったほうが良かった気もしました。2025/02/20
星落秋風五丈原
24
韓国宰相の息子が弟を殺され始皇帝に殺意を抱く。劉邦の有能な臣下として安寧な最期を迎える。2025/03/25