内容説明
隠れキリシタンの島で起きた、密室殺人!
相続鑑定士の三津木六兵の肩には人面瘡が寄生している。毒舌ながら頭脳明晰なその怪異を、六兵は「ジンさん」と呼び、頼れる友人としてきた。
今回、六兵が派遣されたのは長崎にある島、通称「人面島」。村長の鴇川行平が死亡したため財産の鑑定を行うのだ。道中、島の歴史を聞いた六兵は驚く。ここには今も隠れキリシタンが住み、さらには平戸藩が隠した財宝が眠っているらしい。
一方、鴇川家にも複雑な事情があった。行平には前妻との間に長男・匠太郎、後妻との間に次男・範次郎がいる。だが二人には女性をめぐる因縁があり、今もいがみ合う仲。さらに前妻の父は島民が帰依する神社の宮司、後妻の父は主要産業を統べる漁業組合長という実力者だ。
そんななか、宮司は孫の匠太郎に職を継ぐべく儀式を行う。深夜、祝詞を上げる声が途切れたと思いきや、密室となった祈祷所で死んでいる匠太郎が発見された。ジンさんは言う。「家族間の争いは醜ければ醜いほど、派手なら派手なほど面白い。ああ、わくわくするなあ」戸惑いながらも六兵は調査を進めるが、第二の殺人事件が起きて――。
毒舌人面瘡のジンさん&ポンコツ相続鑑定士ヒョーロク、今度は孤島の密室殺人に挑む!
※この作品は過去に単行本として配信されていた『人面島』の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
35
相続鑑定士・三津木六兵が、長崎の離島「人面島」(通称)の村長が死亡し財産の鑑定を行うために島に派遣され、事件に巻き込まれる。三津木の肩にはジンさんという人面瘡が取り憑いている。前作があるのを知らなかったので、ジンさんの存在に戸惑ったが、離島、閉鎖的な親族間の殺人事件など横溝正史を彷彿させる展開が面白かった。2025/01/08
ぴ〜る
14
シリーズ2作目。ジンさんくらい痛烈に何の躊躇なく突っ込んでくれる人がいたら自分を見失わずにすむのかなって冷静に考えてしまった。これに似たような閉鎖された集落は実際存在するのかもしれないと恐ろしく思いつつテンポ良くスルスルと読めた。そしてラストがとても気になる終わり方。。。果たして彼は何を見て何を抱えて生きているのか謎が残る。。。2024/12/17
こばゆみ
13
人面瘡探偵の続編。隠れキリシタンが遺した財宝が眠ると言われている離島を舞台にしたミステリー。遺産争いが動機の連続殺人かと思いきや、今作の中山作品は動機がちょっと珍しかった。最後の谷原章介さんとの対談で、中山さんが「トリックに自信がないから社会問題を取り込む」みたいな発言をされていたのが印象に残った。2024/12/13
NAOAMI
10
タイトル、設定舞台は横溝正史的。隠れキリシタンの島、濃密な人間関係、今どきな男尊女卑。遺産相続を巡る中、相続人が次々殺される舞台に、不動産相続鑑定人・三津木が居合わせる。とりあえず全員怪し気にしゃべらせて候補者が絞り込まれたら、アララ消去法的に「こいつら」かと。その動機もムムゥ、こじらせ以外の何物でもない。解決がアッサリで何のどんでん返しも無い?と思いきや!ラストに笑っていいのか絶妙な…。暗くジメジメしたトーンを軽快に切り裂くジンさんの毒舌と三津木のツッコミトークに引っ張られトントン読まされるテンポ良さ。2024/12/23
たつや
5
人面瘡探偵の続編。今回は長崎県の仁酩島じんめいとう地元の人はじんめん島と呼ぶ。ここで相続の鑑定依頼を受けた三津木。離島が舞台で、今度は「そして誰もいなくなった」のパロディーかと思ったら、違う、が、面白かったです。2024/12/18