内容説明
嘉村礒多(1897-1933)は,山口県仁保に生れ,夭折した作家.己の業苦の生を懺悔行の如く刻み,文学に結晶させた.小説は「業苦」から「神前結婚」まで8篇,宗教への憧憬,望郷の想いを語った随想6篇,近角常観,安倍能成ら宛の書簡6通を精選.悩み苦しむ者の生きる光源となる同朋の全貌を伝える.
目次
小説
業苦
崖の下
曇り日
不幸な夫婦
秋立つまで
魍魎
途上
神前結婚
随筆
すえとおりたる大慈悲心
道徳にあらず業報なり
故郷に帰りゆくこころ
再び故郷に帰りゆくこころ
「上ケ山」の里(山口県)――我が郷土を語る――
経机
書簡
安倍能成宛
大正九(一九二〇)年三月二十九日
大正十二(一九二三)年七月三十日
嘉村若松宛
大正十二(一九二三)年十月(推定)十九日
小川チトセ宛
大正十四(一九二五)年三月
近角常観宛
大正十三(一九二四)年十月九日
大正十四(一九二五)年二月二十三日
解説(岩田文昭)
嘉村礒多略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マヌヌ2号
2
私小説作家らしい。作中における主人公は、なかなかにひどい。結婚した相手が処女じゃなかったことにキレて、それを理由にギスギスした結婚生活を送り、挙げ句の果てに妻子を郷里に残して職場の同僚と都会に駆け落ち。ふたりでうだつの上がらない生活を続けながら、地元に対する郷愁と罪悪感に苛まれ、ずっと「俺の人生、これでええんやっけ……」という感じの鬱屈を引き摺っている。おまけにDV気質で束縛傾向が強い。学生時代の苦い挫折を描いた「途上」は、とりわけ読み応えのある作品だった。読んでてたのしくはないけれども2025/08/02
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