内容説明
天皇陛下がラジオで敗戦を告げた。神生(かみお)島には残っている建物はひとつもなく、一橋産業は財閥解体により経営が崩壊。一橋家あっての神生島の時代は終わった。一ノ屋の血を引く信介は、くがとの定期船を再開させるなど、獅子奮迅の活躍で島を復興へと導く。時代が変わり、一ノ屋の存在意義が薄れても、イチマツ痣は子から子へと体に刻まれ受け継がれる――。著者渾身の大河小説、感動の大団円。(解説・細谷正充)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あやすけ3006
7
上、中、下巻で総ページは2000頁を超えますが、全十七部の各章は何処かで他の部の章と関連していて非常に読みやすかったです。 『邯鄲の夢』の意味する『人の世の栄枯盛衰は儚さ』から本書を読む前のエンディング予想は一ノ屋の末裔の人生は儚き夢が終わってしまうものと勝手に想像していましたが、案に反して、最終部はこの混沌とした現代社会を生きるためのよすがになるよう話でとても爽やかな終わり方でした。この下巻は戦後日本の社会の世相やLGBTなどの社会問題もさりげなく触れられていて、作者の引出しの多さに感銘を受けました。2025/02/21
かずぺん
3
時代の流れ全ての時代時代の問題点をしっかりと書き込んでいます。そして人としてのあるべき姿も。感動の大河ドラマです。お勧めです。2025/03/14
まこやん
2
・勝利もだんだん大人になって行くなあ ・野球の夢は遠かった。ストーリーにはひきこまれたが、最後はなんだか、切ない終わりかただなあ ・いろんな事情により、いろんな事が終わったというより新たなスタートだなあ ・明治から令和に至るまで、島のストーリーは展開された。いろんな事件や天災などもあったが、それらを乗り越えて今がある。もしかして、島が無くなってしまうのかと予想した事もあったが、そんなネガティブな事にはならず、あらたな未来を感じた。終わってみれば、なかなか楽しいストーリーだった。2025/03/28
ビジオ
2
ああとうとう読み終わってしまった。上中下巻ともとてもおもしろかったです。巻頭の家系図の名前を見ると、その人物像が一瞬で脳裏に浮かぶくらいこの作品に没頭しました。登場人物はみんな魅力的で、感情移入して魂を揺さぶられました。メジャーリーグを観に毎年アメリカに行くくらい野球は好きですが、この巻でわりと多くページを割かれていた野球の章はこの作品には無くても良かったかなと思うくらい、他の章も全部おもしろかったです。貫井さんて控えめに言っても天才ですね。これからも貫井さんの作品を読むのを楽しみにして生きていきます。2025/01/20
はち
1
@852025/01/28