内容説明
神か、仏か。人間離れした美貌の男、イチマツこと一ノ屋松造が神生島(かみおじま)に戻ってきた。松造は島に福をもたらすと伝えられる一ノ屋の末裔で、島の女と次々に契る。不思議なことに、彼の血を引く子どもは皆、身体のどこかに唇に似た形の痣が刻まれていた。「イチマツの子」たちはそれぞれの天命を背負って激動の時代を生き抜く。明治維新から現代まで。島に生きた一族の営みを描く大河小説が開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イシカミハサミ
15
舞台は神生(カミオ)島。 作中で東京の沖合にあること、火山島であること、椿が特産であることが 述べられていることから、モデルは伊豆大島と思われる島。 島には「一ノ屋」という特別な血筋があり、 「一ノ屋の色男は島に吉兆をもたらす」という言い伝えがある。 物語は一ノ屋の最後の血筋、イチマツが5年ぶりに島に帰還する 江戸末期あたりから始まる。 章立ては第〇部となっていて、 実際章ごとに違う人物の半生が描かれ、 それが連作形式で島の歴史を追っていく形で物語が展開する。 2025/02/03
あやすけ3006
8
邯鄲(コウロギ?)の夢という言葉は、人の世の栄枯盛衰の儚さのたとえなんだとか… 貫井さんの小説は『慟哭』のデビュー作を読み、同世代の書き手として共感を覚えましたが、悲喜交々の7つのエピソードは大河小説の体裁を取りつつ、短編集のような読み易さで、第五部の『夢に取り憑かれた男』や第七部の『才能の使い道』は、話の成り行きに引き込まれて、乗車中の電車でおりる駅を乗り過ごすほど引き込まれました2025/01/15
かずぺん
4
読み応えあり過ぎて、時間をかけて読んでます。中巻に入ります。2025/03/04
ビジオ
4
貫井さんの作品は文庫新刊が出れば必ず買って読んでいましたが、まさかの大河小説でしかも分厚い3部作という事でなかなか手が出ませんでした。ですが貫井さんを信じて意を決して読み始めたら、おもしろくて楽々と読み進められました。およそ100ページごとに主人公が入れ替わっていきますが、それぞれ違うジャンルの話を読んでいるようで飽きませんし、全て繋がっているので島の歴史と成長を感じられます。子供らしいアホっぽさのある良太郎の成長譚である第7部「才能の使い道」が特に好きです。2024/12/31
まゆこ
3
★★★☆☆2024/12/09