内容説明
百合は大好きだった夫と別れ傷心の一人暮らしを始めるが、門司港で妙に賑うコンビニを発見する。舞人はかつてヒーローになりたかった。自分を見失う彼の元に突如訪れた「テンダネス着ぐるみ」任務。その背後にはとあるコンビニ店員との過去から今に繋がる熱い友情があった。報われるばかりの人生でなくとも手にすることができる小さな幸せがここにある。温かなコンビニ物語第四弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
98
シリーズの第四弾だけど前作からしばらく経ちましたね。相変わらずの緩さが良い。今回のメインは兄弟ではなく、全くの新キャラが2人の3短編と少し物足りない。それでも、緩さの中に人生の悩みが混じり合う話は沁みつつも読み易いもので、特にヒーローの方は後半が良い。両方共に親が絡んでくるのも町田そのこさんらしさがあり、百合の方の親はなかなかの胸糞だった。プロローグとエピローグで前作と恐らく次作を繋いでいくので、まだまだこの話は続いていくのだろう。文庫書き下ろしだけど、そろそろ店長や兄弟の濃い話が欲しいかな。2024/12/28
みかん🍊
83
両親からの束縛のせいで離婚して門司港へやってきた女性一人暮らしをはじめてやっと両親にはっきり決別する事を告げる事が出来、テンダネスで気の合う女性と会えて自由な生活が始まる、2、3話目はヒーローに憧れヒーローになりたかった男性がチャンスをつかみそして高校時代の友人との温かなエピソードは彼がすでにヒーローだった事が知らされる、テンダネスの個性豊か過ぎる温かな人々のお陰もあり今日も平和で楽しい仲間が集う、取り憑かれも解決し又新たなエピソードが続きそうです、今回はアル・パカッションがキーワード。2025/01/17
J D
82
温かい作品だと分かっているんだけど、今回は伏兵?による温かい作品でした。ヒーローに憧れ、実践した舞人。良かった!ヒーローに憧れると言えば桂正和先生の「ウイングマン」の主人公広野健太が思い浮かぶが、町田そのこさんの生み出した舞人もなかなかだった。最近読んだシリーズ物いとうみく「車夫」の力車屋、テンダネス門司港こがね村店にしろ人が集まりそっと優しさのそよ風に癒される場所。なんだか、私にとっての「読メ」のよう。シリーズはまだまだ続きそう!早くも5作目が待ち遠しい。2025/01/18
林檎
69
楽しみに追い続けてるシリーズ最新刊。コンビニ『テンダネス門司港こがね村店』界隈での温かい物語。今回もテンダネスに導かれた人達が出会い小さな幸せを手にするお話。町田そのこさんの陽の部分が濃く出ているような、身構えずほっこり出来るこのシリーズは大好き。そして読後はやっぱり門司港に行ってみたくなる。2024/12/16
ネギっ子gen
63
【孤独がひとを強くする】霊に取り憑かれ秋田まで除霊に行った店長が、長男・一彦について話す。“とても愛情深い魅力的な人なのに、本人は「煩悩まみれ」だと思い悩み、愛ゆえの罪を二度と起こさぬため欲を捨てて悟りを開きたいと世界中で修行を積み、やたら効力のあるお守りも作れるが、いわゆる節操のない人”だと。一彦はプロローグとエピローグ(こちらは噂話)で、ちらっと登場。一彦は、大きながっしりした体躯のスキンヘッドの作務衣にゴム草履姿で、「お困りの人がいるなら」と、子どもが作ったオモチャのようなブレスレットを差し出す。⇒2024/12/31