シャチ オルカ研究全史

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シャチ オルカ研究全史

  • 著者名:水口博也【著】
  • 価格 ¥4,620(本体¥4,200)
  • 東京大学出版会(2024/10発売)
  • ポイント 42pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784130602495

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内容説明

ミステリアスな生態を追う――かつて「海のギャング」といわれたシャチは、すばらしい文化をもつ魅力的な動物だった。南極海に生きる謎のタイプDをはじめ多様な生態型をもつかれらは、はたして1種なのか? 世界中の海で精力的にシャチを追い続けた記録。

【山極寿一氏(霊長類学者)からのメッセージ】
「海のギャング」として恐れられてきたシャチの真の姿を、40年近くにわたって追い続けている著者が最新の研究成果から詳細に描き出した。私が研究しているゴリラもかつて「悪魔の化身」と見なされ、映画『キングコング』のモデルとなった。しかし、実際のゴリラは人間以上に平和な家族生活を営む森の巨人だった。同じようにシャチは巨体を美しく滑らせて、北極海から南極海まで海洋を自在に旅する哺乳類である。シャチの一生や家族生活、狩りの技術、移動経路、地域による生態の違いはこれまで謎に包まれていた。その多くが解明され、彼らの愛らしい暮らしが理解され始めた今、絶滅の危機が迫っていることも明らかになった。


【主要目次】
はじめに

第1章 アメリカ、カナダの太平洋岸から
サンファン諸島/研究のはじまり/シャチという動物/レジデント/A30の家族/文化と伝統をもつ存在として/南部レジデントの奇妙な“文化”

第2章 文化をもつ存在
鳴音の研究/“方言”をもつシャチ/ポッドはどう分かれてきたか/更年期をもつシャチ/息子を守る母親/トランジェント/トランジェントの狩り/DNAの解析技術の発展とともに

第3章 北部北太平洋のシャチ
アラスカのレジデントとトランジェント/東南アラスカの沿岸水路/プリンス・ウィリアム湾/アラスカ・レジデントの声/プリンス・ウィリアム湾のトランジェント―AT1グループ/AT1グループの声/AT1グループの未来/コククジラを襲うシャチ/より西へ/最後の氷期が終わって

第4章 さまざまな生態型~南極海と北大西洋から
南極海から/南極のシャチ/生態型それぞれ/体をおおう珪藻/タイプD/シャチは1種か/ノルウェー北極圏のシャチ/カルーセル・フィーディング/小さすぎる獲物/北大西洋のシャチ/タイプ2その後/ジブラルタル海峡のシャチ/マグロを捕食するシャチたち/汚染化学物質のホットスポットとして

第5章 南半球のシャチたち
アルゼンチン、バルデス半島のシャチ/アタック・チャネル/メルとベルナルド/プンタノルテ以外の場所で/バルデス半島、その後/クロゼ諸島のシャチ/ニュージーランドのシャチ/オーストラリア、ブレマー海底渓谷海域のシャチ/ニンガルーリーフで/サメを襲う南アフリカのシャチ

第6章 世界のシャチがたどった道、そして日本へ
世界のシャチの遺伝的な多様性が乏しいこと/シャチは1 種ではない?/世界のシャチがたどった道/レジデント、オフショアとトランジェントの関わり/最後の氷期のあとで/集団間の交流と分断/東部熱帯太平洋/イカを食べるトランジェント/日本にすむシャチ/最終氷期極大期における避難場所として

第7章 シャチに未来はあるか
大量死が教えるもの/セントローレンス湾のベルーガ/世代を超えた蓄積/餌をめぐる窮状/南部レジデントの憂鬱/懸念される近親交配

おわりに
解説 篠原正典(帝京科学大学生命環境学部教授)
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

於千代

3
シャチと言えば「海のギャング」で、海中最強クラス、そのぐらいの解像度だったが、本書を読んで大分解像度が上がった気がする。 一見同じように見えるシャチだが、実際には魚を食べるもの、海生哺乳類を食べるもの、サメを食べるものと食性が異なるグループがあり、遺伝的にも離れているようである。さらにその食性の違いから捕食圧も変わり、その海域の生物に対する影響も違うというのが興味深かった。 また本筋ではないが、そもそも「オルカ」という呼び名自体が、ローマ人たちが「海の悪魔」という意味でつけたものというのも驚きだった。2025/05/06

tksok2

2
単にシャチは海洋生物の中でも最強といったことだけでシャチ好きと言っていたが、新しい発見がたくさんあった。こういった学術的図書をあまり読むことはないが、興味ある分野において知識を深めるのはとても楽しい。最終章のシャチの未来についての解説・仮説は示唆に富む内容で一シャチファンとしては今後について憂慮すべきことであると感じた。また時間ができた時にでも読み返したい。2025/04/26

Sunekosuring

1
図書館本。大変興味深かった。シャチは好きだが詳しく知らない自分にとって新鮮な驚きの連続だった。シャチは母系社会で閉経後も賢老婆として特に息子の面倒をみるとか、主に狩る獲物によって雄弁な群れと無口な群れがあるとか、氷河期を乗り越えはしたもののそれで遺伝的多様性が失われたとか、知らないことばかりだ。だが一番衝撃なのが有害物質の蓄積が母乳を通じて子供に濃く受け継がれることで生殖障害率が高まり数が大幅に減ると予想されていることだ。すでに溜まったものは抜きようがないため手遅れであり言葉を失う。2025/02/06

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