内容説明
一年前にとある事件で心身を壊し、東京の仕事を辞め、地元の三重県伊勢市にある柳道商店街へ帰ってきた青年・健一。駐車場係員として働きながら徐々に社会復帰を図っていたある日、フリーペーパーの編集長を務める幼馴染・晴人に頼まれ、商店街の人々にまつわるコラムを書くことになる。伊勢出身の小説家で、健一の母親も大ファンである絃來田兼人の作品を読んで実家の寿司屋を継ぐために帰ってきた青年や、モラハラ彼氏と別れられずにいる大学の同級生の妹、絃來田の小説の主人公に憧れて孤軍奮闘するシングルマザー、小料理屋という祖母の夢を叶えるため東京から地元に帰ってきた孫たち……商店街の内外からやってくる様々な人たちとの出会いと交流を通じ、健一は商店街という場所の温かさ、文章というものの持つ影響力を実感していく。人と人との縁がつなぐ、希望と再生の物語。
目次
第一話 瓦版とあおさのみそ汁
第二話 夜店の金平糖と人の縁
第三話 もちつもたれつカボチャサラダ
第四話 夢をかなえるさくさく天ぷら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
83
東京の仕事で心身共に壊して伊勢の商店街の実家へ帰った健一はひきこもり期間を経て近所や幼馴染みの温かい支援により商店街の駐車場でアルバイトをするところまで復活出来た、そこでの4話の温かいエピソード、商店街では親がお店をして働いている為子供たちは商店街の子供として周りの大人達に気遣われながら親戚の子の様に扱われる、近所付き合いもなくなり孤独な子育てを強いられる現代であるが、お互い助け合いながら子供の成長を見守り何があれば助け合うこんな温かな商店街いいな、実在するので久々に行ってみたくなった。2024/10/30
よっち
33
とある事情で心身を壊して、地元の三重県伊勢市の柳道商店街へ帰ってきた青年・健一。商店街の内外からやってくる様々な人たちとの出会いと交流を描く連作短編集。駐車場係員として社会復帰を目指す彼が、板前の夫が半身不随になってしまった寿司屋の老夫婦や、旅行中に男に置き去りにされた女性との意外な繋がり、疲弊するシングルマザーの母娘とのエピソードを、フリーペーパーのコラムにまとめていく構成で、そこから住み込みの三國の過去、健一が身体を壊した事情も掘り下げていく展開でしたが、商店街の温かさがとても心にしみる物語でしたね。2024/10/18
み
11
ほっこりと見せかけて扱ってるテーマは結構重め。リアル伊勢市を知ってる人は、元ネタを辿るのも面白いかも。いつまでもあると思うなって本当それ。気づいたら地元の本屋さんは全く無くなっており、大型商業施設内にあるのみ。寂しい。2025/02/04
栗山いなり
8
とある事情から地元に帰ってきた青年を主人公に商店街の人々を描いた物語。展開自体は予想できた部分もあったけど商店街の人達の人の良さとそれが織りなす物語に癒される作品だった。シリーズ化もできそうな終わり方だったから続編出るんなら読んでみたい2024/11/23
えっちゃん
7
懐かしくて胸熱。伊勢の人間ならこの「やなぎみち商店街」とは高柳商店街としんみち商店街を合わせての名前なんだろうとすぐに場所とか情景が浮かんでくると思う。高柳商店街は夏の夜店。しんみち商店街は小説の中の場所はまさにここだと認識出来るのではないだろうか。ある事情で東京から帰ってきた高遠健一を主人公に商店街の人達と色んな出来事に関わっていく。人間同士の距離も近いが暖かい関係にホッとする。謎の小説家「絃來田兼人(いときたかねと)」の正体は早々に判明するが…続編も大いに期待したいなあ〜。連作4話で構成されてます。2025/05/20
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