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内容説明
伝統絵画と西洋の出会いによって誕生した近代日本画という表現。画家たちは近代・西洋・国家とは何であるのかという不断の問いに直面することとなる――。国家主義を揺籃とした明治期、皇国感情のなか成熟を迎えた大正・昭和初期、そして戦後に浮上する日本画滅亡論を超えて、日本画はどこへ向かうのか。その成り立ちと多様性を、様式の変遷から時代ごとに描く圧巻の百年史。
『日本画とは何だったのか 近代日本画史論』(角川選書)に補論を加え、改題文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うちだ
6
近代の日本画は苦手だったのですが、アーネスト・フェノロサとその助手・岡倉天心による提唱から、狩野芳崖と橋本雅邦による具現化、そして横山大観や菱田春草らによる確立まで、日本画の発展の道筋が理解できました。文体がやや学術的で分量も多かったため、読み進めるのに苦労しましたが、ガッツリ勉強するにはそれぐらいの方が良かったかもしれません。狩野芳崖の「悲母観音」、菱田春草の「落葉」、速水御舟の「炎舞」という名作が、歴史的な文脈を知ることでようやくその名作たる所以を理解できた気がします。2025/06/14
多喜夢
5
若冲、応挙などの絵や、雪舟の水墨画などは厳密には日本画と呼ばないということが分かりました。結局、日本画とは何かということは永遠の課題となるのかもしれません。読み終えて長い旅が終わったような気がしました。2025/04/10