内容説明
〈昭和100年〉ほんの百年前を生きた女たちの苦闘。
文藝春秋読者賞受賞
「昭和史というすらりとした言い方や書き方では包括できない生身の人間の話を、生活を書きたい」(『昭和史のおんな』単行本あとがき)。
女性たちの埋もれた生を堀りおこし、文藝春秋読者賞を受賞したノンフィクション。
二・二六事件の遺族を追う「雪の日のテロルの残映」が補完された完本を文庫化。
「文庫版あとがき」を収録。〈解説〉酒井順子
■下巻 目次■
さまよえる「ノラ」
日中の懸橋 郭をとみと陶みさを
伝説のなかのプリマドンナ
夫の生還を信ず
小林多喜二への愛
雪の日のテロルの残映
あとがき
文庫版あとがき
解説 酒井順子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイトKATE
19
スキャンダルの渦中にあった女性たちを書いた上巻に対して、下巻は戦争に翻弄されながらも自分らしく生きようとした女性たちを書いている。特に、20世紀中国を代表する作家、郭沫若の妻となった佐藤をとみ、その妹で中国人医学者で作家の陶晶孫の妻である佐藤みさをの生涯は、劇的で佐藤姉妹の人生を一冊の本として書いてほしかったくらい読みごたえがあった。佐藤姉妹のように、国や人種に囚われずに愛を貫いた女性がいたことに心打たれる一方で、愛を引き裂いてしまう国家という存在は必要なのだろうかと疑問に感じてしまう。2025/07/23
totuboy
2
向田邦子氏のエッセイに澤地女史がちょくちょく出てきて、気になっていたところ、文庫化されたこの本を発見。1925-45年の歴史を学ぼうとすると、とかく戦争一色になり、軍部の動きや統制下での人々の暮らしばかりがクローズアップされる。しかし、この本を読むと、戦時下でありながら一人の人間として生々しく「生」を全うした人々の姿が浮かび上がってくる。あるものはその死が戦争への意識高揚のために用いられたり、あるものはいわゆる家制度の下の犠牲者となっていったりした。大変面白い本でした。2024/11/10
BUNCO.
0
おんなは「家」のみならず「国」の内助の功も務めた。 赤子を抱いて赤貧の中を逃げ惑うような疲れる読書でした…。 これは全て事実でほんの何十年か前にあった生き方で、地続きにあたしたちの生活があります。2025/04/04
てじゃせ
0
★★★★2025/02/02