内容説明
〈昭和100年〉ほんの百年前を生きた女たちの苦闘。
東郷青児と情死をはかった西崎盈子、夫の出陣前夜に殉死した井上中尉夫人・千代子、保険殺人をはかった母子・徳山はつ/光子、堕胎罪に問われた女優・志賀暁子、ソ連へ亡命した女優・岡田嘉子……。
昭和のメディアを「騒がせた」女たちの苦闘に寄り添い、その人生を追ったノンフィクション。
文藝春秋読者賞受賞。昭和100年に際し文庫化。
■上巻 目次■
妻たちと東郷青児
井上中尉夫人「死の餞別」
保険金殺人の母と娘
志賀暁子の「罪と罰」
杉山智恵子の心の国境
チフス饅頭を贈った女医
性の求道者・小倉ミチヨ
桝本セツの反逆的恋愛
初代女性アナ翠川秋子の情死
擬装結婚の愛と真実
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイトKATE
20
昭和、主に戦前に関するノンフィクションを書き綴った澤地久枝。『完本ー昭和史のおんな』は、戦前にメディアを騒がせた女性たちを書いている。登場する女性は、心中、殺人、駆け落ちなど、ワイドショーやゴシップ誌の対象になって、茶化したり、冷淡に書くことが可能である。しかし、澤地久枝は距離を置きながらも、当事者となった女性たちを一人の女、人間として生涯を書いている。本書に登場する女性たちが起こした事件は褒められるものではないが、時代背景を見ると、女性たちが権力や社会から抑圧された犠牲者であることに気付かされる。2025/07/19
BUNCO.
0
男に、家族に、国に、時代に、翻弄されて時に強く時に流され、なんとか生きたあたし達の先輩へ敬意を表します。2025/04/04
てじゃせ
0
★★★★2025/01/19