内容説明
朝里学園大学附属高校の卒業演奏会の最中に、出場者の恵利原柊が音楽科クラスメイトの雪川織彦を殺してしまう。
作曲家アントニオ・サリエリがモーツァルトの才能に嫉妬して毒殺を企てた説にちなんで、事件は「サリエリ事件」と呼ばれた。
卒業演奏会に出た残りのクラスメイト4人は朝里学園大学に進学し、四年後、同じ卒業演奏会で再び顔を合わせることに。
そして、演奏会の最中に、再びクラスメイトを殺す事件が起こってしまう。何故、二度も殺人事件は起きたのか。週刊現実の記者である石神幹生は二つの事件を追っていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
204
額賀 澪は、新作中心に読んでいる作家です。本書の雰囲気は好きですが、青春音楽小説としても、ミステリとしても、中途半端、不完全燃焼で終了しました。 https://nukaga-mio.work/sarieri2024/12/26
パトラッシュ
186
音大付属高校の卒業音楽会で出場者がクラスメイトを殺し、4年後の大学卒業演奏会で再びクラスメイト殺しが起きる。そんなストーリーから音楽ミステリを期待すると裏切られる。映画『アマデウス』で努力家サリエリは天才モーツァルトを嫉妬から死に追いやるが、こちらではピアニストを目指す学生という特異な集団を取り巻く環境が事件の遠因となるからだ。才能以外の原因で挫折したり大切なものを失ったと感じた時、狭い世界しか知らなかった若者は一瞬で壊れてしまう。他の生き方を知らない狭い世界での悲劇は、過激派の内ゲバに似たものを感じる。2024/11/12
モルク
129
音楽大学の卒業演奏会には附属高校音楽科の成績優秀者も参加する。6人が参加したその中で殺人事件は起こった。出演していた同級生が同級生を…。そして4年後音大に進学した彼らがその卒業演奏会で再び起こる殺人事件。そこに週刊誌ライター石神が絡む。友人の才能を認めリスペクトしながらも自分の境遇と対比し心の中に潜む妬む感情。彼さえいなければ…いなくなってくれればいいという思いが突き上げる。そして友のなにげない一言がその感情の後押しをしてしまうことを知る。怖い怖い。言葉には気をつけなければ…2025/01/07
のぶ
112
否定的なレビューが多いようですが、自分も消化不良の感が残りました。4年前、朝里学園大学付属高校の卒業演奏会の最中、演奏者6人の内の一人=恵利原柊が、首席だった雪川織彦を殺害するという事件が発生。さらに4年後の同大学卒業演奏会において、またしても再び演奏者間で殺人事件が起きます。いったい何故? そして誰が誰を殺害するのか?仲が悪い訳でもなかった同級生間で、何故殺人事件が起きてしまったのか、さらに二度も。その点は間違いなくミステリー。青春ドラマとしては良かったが、暗いミステリーを絡めた展開がどうも…。2024/11/14
hirokun
86
★3 額賀澪さん久しぶりの音楽を舞台にしたミステリ小説。本の帯にあった「言葉が友を殺す武器になる」が当に作者の主張したかったことか?音楽に必ずしも詳しくないため、読了後YouTubeで検索し、ピアノ演奏を楽しめた。ミステリ小説というより、人間の持つミステリ性をテーマにした作品と呼ぶ方が相応しいのではないか?プロピアニストというような極めて専門に特化した環境で育つと、よほど意識して見聞、経験、交際を広めないと偏った見方になってしまうのかもしれない。2024/12/06