内容説明
第15回 小説 野性時代 新人賞 受賞作!
落語好きの父に連れられ寄席に通うなか「演芸写真家」という仕事を知った宮本繭生は、真嶋光一に弟子入りを願い出る。真嶋は「遅刻をしないこと」「演者の許可なく写真を撮らないこと」を条件に聞き入れるが、ある日、繭生は高まる衝動を抑えきれず、落語家・楓家みず帆の高座中にシャッターを切ってしまう。繭生は規則を犯したことを隠したまま演芸写真家の道を諦める。あれから4年。ウエディングフォトスタジオに勤務する繭生のもとに現れたのは、あのみず帆だった……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J D
84
関かおる。初読み作家さん。デビュー作品。テンポが良くて、勢いがあり読みやすかった。写真と落語の芸術な話。臨場感に溢れていて寄席に行きたくなった。東京辺りに出張ないかなと邪な考えが浮かんだ。芸に対する真摯な態度が清々しく、読み応えを3割増くらいにしていた。また、味のある作家さんが登場した。オススメです。2025/06/08
fwhd8325
58
演芸写真家を目指す主人公。ちょっとマニアックなのかなと思ったのですが、とても自然な展開で面白く読みました。師匠と弟子、その関係がとてもよく描かれていると思います。連作でなく、一つの物語にまとめている点もうれしいです。ラストは少しウルッとします。2024/12/05
シャコタンブルー
57
またまた凄い新人作家が現れた。今年は少なくとも5回はこのセリフを発しているかも(笑) 演芸写真家を目指す20歳の繭生の挫折と成長を描いている。落語を題材にして噺家が語るようなテンポとリズムが心地よい。満開の桜、長屋、ご隠居、次から次へと映像が目に浮かぶ。落語家が語る一瞬を切り取りシャッターを押す。カシャン。呼吸が止まるような緊張感が襲う。いい写真を撮る。そういう邪心があるとシャッターを押す指が震える。「演芸写真が写すのは、人間じゃない。芸だ。そして芸は目に見えないものだ」読後、落語を聞きたくなった。2024/11/11
coolgang1957
50
ちょうど3日前に、柳家喬太郎さんの『転宅』をNHKEテレで観たとこですからナイスタイミングでございます。…落語の枕ふうに始めましたが、特段落ちはございません🙇♂️ 写真と落語、ええお題でした。フィルム🎥か動画📱撮ったらええやんと作中の大師匠みたいなことを、つい深い考えもなくつぶやいてしまいますが、そこはそれ凡人ならでは。流れで写し込まれていくのとは違う、一瞬の煌めきを遺し、追い求めるのが写真家の腕の見せ所というやつですね。初読み作家さん、期待以上でした。2024/11/19
アルピニア
45
ウェディングフォトスタジオでカメラマンとして働く「繭生」は、演芸写真が撮りたくてこの道に入ったが、4年前にある事件を起こして演芸の世界から逃げていた。ある日撮影を担当することになった新婦がその事件に関わっている女性落語家「みず帆」だったことから・・。 「撮りたいもの」「撮り続けること」「技術と熱意」ビンビン伝わってくるのだが、「小峯」君の存在が重要でありながら不明瞭だと感じた。あと、この作品のキモと思われる「シャッターの音で見えないはずのものが浮かんでくる」が私には想像できなかったのが残念だった。2024/12/23
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